不確実性の高い新規事業を立ち上げるという局面に何度か立ち会っている。コンサルティング、当事者双方の立場で。
状況がよく分からないので、まずは情報を集めていく。公知情報などの手段を使って。ある程度集めたら、そこからニーズに関する初期仮説を作る。さらにそこから解決策としてのサービス仮説を作り、検証とスケール化に向けた実践を行う。
このステップは
1.Observe(観察)
2.Orient(仮説構築)
3.Deside(意思決定)
4.Action(行動)
というOODAサイクルそのものだったりする。もちろん、15年前にはOODAという概念は知られていなかったけれども、今聞くとまさにその通りという実感値を持つ訳なのだ。
リクルート的に言えば、世の中をつぶさに観察した上で『不』の発見を行う。そこに対して刺さるサービスを考え、圧倒的当事者意識をもって決断し、やり切る…ということだろうか。
リクルート伝説の創業男『くらたまなぶ』さんが自著で述べている仕事術も実践的なOODAステップだといってもいい。
ビジネスにおいては、PDCAのステップというのが暗黙的な了解になっていることが多い。だがこのステップで新規事業に取り組むからうまくいかない。もっといえば、当事者意識からおおよそかけ離れた、儀式的ルールに則ることを旨として作られた一見綺麗な計画にはなんら意味がない。
仮説を考えたら、街に出てマーケットにぶつけにいく。そこから声を拾いブラッシュアップをする。『不』を解消することが世の中を変えていくのだという信念を持って。
そこで話が合わないのは、PDCAを盲目的に信奉する意志を持たない官僚的リーダー。彼らは、エビデンスをベースにした計画の確からしさに異様にこだわる。当事者意識がないので、失敗が怖いからだ。
ただし、エビデンスがあるのは過去の延長線上の戦いを前提とした場合のみ。見えないものを大事にしない人がリーダーになっていると、不毛な計画策定に貴重な時間と労力を喰われる。正直、そういう人は新規事業のトップにいたら邪魔なだけなのだ。
とはいえ、そういう人が『優秀』というレッテルを貼られて権限を持っているのが日本企業のかしこで見られること。これじゃあ、イノベーションは起きるわけがないよね。