自然に囲まれた場所と利便性は両立しがたいが、都心から約1時間の鎌倉には自然豊かな場所が多く残されている。
農業が盛んな地域は、自然が豊かというとそうでもない。農薬散布で生態系が変わっているからだ。そのため昆虫や鳥の種類はさほどでなかったりする。クワガタやギンヤンマ、蛍などまず見られない。
ウグイスやガビチョウ、コジュケイといった何種類もの鳥たちの合唱が朝から聞こえてくる。先日から蛍も飛び始めた。
木立に囲まれた谷戸は、都心と比べて4度は夏でも気温が低い。鎌倉時代に記された徒然草には、『家は夏を旨として建てるべし』と記されているが、この考えは900年経った今こそ重要な要件だったりする。
魅力溢れるこの場所だが、悩みは高齢化。谷戸の住人の大半が80歳前後だったりする。野良仕事と坂道を歩くことが習慣の谷戸の長老たちは、体力、気力、知力ともに年齢を感じさせないのだが…
彼らから見ると、僕は子供の世代になる。だが、僕と同じ世代はここに住みたがらないのだという。東京に出るのに時間がかかる…からだそうだ。
鎌倉から新橋までは50分。鎌倉駅まで約2キロ。バスを使えば20分、自転車なら約10分の距離になる。横須賀線は空いているので、朝はまず座れる。目黒生活で自転車オンリーだった生活が約20年だったので、通勤のストレスはちょっと心配だったがさほどでない。実家の我孫子にいたときは常磐線はまず座れず、通勤は結構大変だった。
ネックは駅までの足。バスの本数は多いが、最終は22:50分。自転車を使わないと車で送り迎えが必要になる。女性においては不便かもしれない。僕においては雨の日であったとしても、自転車を使うことはむしろ喜びだったりするので何ら差し支えない。自転車を足として使えるか否かは、トカイナカ暮らしでは大きな要素。
都市部、および近郊圏で育った人間は、子供の頃から田舎に対する憧れがある。幼少期から田舎暮らしの人は、都会への憧れがあったりもする。実際に谷戸に住む人は、かつて都心で暮らしていた人が多かったりする。これは根底の価値観の違いかもしれない。
鎌倉の利便性でそのような状況だから、首都圏以外の高齢化は進行に歯止めがかからないのも仕方がないのかもしれない。