Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

連戦連敗

空港、駅、美術館など大型の建築では、公開コンペになることがほとんど。その中でコンペに勝ち残れる確率は、世界に名だたる安藤忠雄さんをもってしても、1割か2割程度しかない。基本は連戦連敗。でもそこで諦めない。敗戦の理由を丹念に分析し、次への肥やしとする。


なぜ勝率も高くないのに莫大な労力を費やす過酷な挑戦をし続けられるのか。


それは、安藤忠雄さんが学歴も経験も何もないところから身を興した反骨精神の持ち主であり、建築というものは様々な制約のなかにあってこそ新たなブレークスルーを産み出すのだという確固たる信念を持っているから。


・ギリギリの緊張状態の中にあってこそ、創造する力は発揮される。条件の整った仕事よりも、コスト的・条件的に苦しいときの方が、意外によい建築が生まれることが多い

・コンペを通じて、自らの建築への姿勢を問い直し、その意志を確かめる。そのような思考の時間をもつことができることが、コンペに参加する意義といって過言ではない

・大抵の人間は、この苦難のときを耐え切れずに終わってしまう。しかし、ル・コルビュジエもカーンも、決して諦めなかった。妥協して生きるのではなく、戦って自らの思想を世に問うていく道を選んだ。与えられるのを待つのではなく、自ら仕事を作り出していこうとする、その勇気と行動力こそ、彼等が巨匠といわれる所以なのである

・コンペで勝てなくてもアイディアは残る。実際、コンペのときに発見した新たなコンセプトが、その後に別なかたちで立ち上がることもある。そもそも、実現する当てもないプロジェクトを常日ごろから抱え、スタディをくり返し、自分なりの建築を日々模索していくのが建築家だろう。だから、連戦連敗でも懲りずに、幾度でもコンペに挑戦し続ける。建築家の資質として必要なのは、何をおいてもまず心身ともに頑強であること、これだけは間違いない。

 

新しい環境に来て3ヵ月。新たなテーマへの挑戦とともに数限りない企画書を書き、コンペにも参加しました。僕が道を造らなければ、道なんてないからです。決して精神的には楽ではありません。でも、今までの環境であればとても生みだせなかったような企画を作ることができています。しかもハイペースで。


企画は相手と競合次第で選定されないかもしれない。でも、考え抜いたことは残る。選ばれなかったらその反省を生かし、次に向かう。あの安藤忠雄さんですら挑戦し続けているのだから。


でも、公開コンペというのはある意味で気持ちがいいものです。だって、平等な条件の中で会社の知名度など関係なしに個人の経験と内容の優劣で勝負できるのですから。僕の性格にはあっている気がします。