Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

自転車と本

小さい頃は、旅行にあまり連れて行ってもらえませんでした。年に唯一の夏の家族旅行は、二泊三日、場所は会社の保養所というのが定番でした。それ以外は、自転車と本が僕にとってのトリップアイテム。

 

高校卒業後に電力会社に入った父は、謹厳実直を絵にかいたような会社人生を送りました。労働安全衛生の担当だったこともあり、休日や正月、盆休みでも出勤になることも都度。単身勤務も長く余儀なくされました。

僕はそうした反動からか、異動辞令一枚で人の働き方をすっかり変えてしまうような会社は選びませんでした。休暇もなるべく取るようにしています。

 

一方の妻は、時間にも経済的にもゆとりのある家庭に育ったこともあり、1ヶ月の家族旅行であったとしても、さして驚きません。とはいえ、世間的なレベルも分かっており、慎重な人でもあるので『そんなに、休んで大丈夫なの?』と聞いてきます。

『なあに、成果をだしているから大丈夫だろ・・まあ、ちょっとばかり働いたところで出世するわけでもなし、いいんだよ・・』いうと、『それじゃ困るのよ!』と怒られてしまう。

 

ただ実際、数日の休みを多くとるか否か・・を気にしたところでパフォーマンスは上がりませんし、ましてや出世するわけじゃない。宮仕えの日本人は、お互いに変な恐怖に縛られすぎ。ライフワークとしてのめり込むほど、目の前の仕事が好きなわけじゃないのにね。

これにけりがついたら・・一定の成果が残せたら・・昇格したら・・

子供は成長を待ってはくれません。自身の肉体だって衰えていきます。今と同じ条件の”いつか”なんて、永遠に訪れない。であれば無理をしてでも”いつか”を今した方がいい。

”いつか”のために粉骨砕身し、色々なものを犠牲にした人が、定年も間際となり、いよいよとなったら誰も分かち合う人がいないし、選択肢もない・・という寂しい状況も多く見ていますから。

旅行に連れて行ってもらえなかった子供時代。

僕においてよかったことは、想像力や好奇心を育んでくれたこと。大人になって、仕事で様々なところを訪れたり、旅好きで行動力のある妻と様々なところに行けるのも、自転車と本で過ごす経験があったから。人にとっては、何が良い環境かはわかりませんね。