Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

傍流部署は主流部署

バブル期を経た90年代は金融業界、こと銀行の就職人気が高かった。その魅力は「生涯年収」の高さということに集約されるのだろうと思う。


そうした中で現役社員による銀行の内幕を描いた『はみ出し銀行マンの勤番日記』という小説は非常にヒットした。僕も買いはしなかったものの、本屋で立ち読みをした覚えがある。内部の人間にしか分からない赤裸々な暴露本は確かに面白い。だが自分の働く職場についてこんな愚痴を言っててなんだかな・・と思った記憶がある。


そんなスタンスで働いている著者が銀行で出世コースに乗れるはずもなく、最後は情報システム部に左遷させられてとうとう退職。


僕が気になったのは、左遷させられるような人が異動する組織が「情報システム部」というところ。当時僕はITコンサルタントだったから、情報システム部門の人たちがクライアント。このセクションは二線級の集まる組織なのか・・


確かにITに詳しい訳でないし、要件定義ができる力も低い人も散在する。話を聞いてシステムをくみ上げたら、現場で支持されずちゃぶ台返し。はて、その理由はメインストリームに乗れないと目された人たちがだからなのか・・


時代は流れ、情報システム部門が左遷人材の吹き溜まりの組織などということはもはやないのだと思う。DX人材というのは日本だけの言葉らしいけど、IT部門が注目を受けている証拠。銀行なんてIT抜きでは語れないしね。


同じ匂いを感じるのは、「人事部」特にその中でも「人材開発部門」。人事部でも、役員・部長人事を決めたり、報酬設計・運用をする人事企画はエースが張られている。採用も会社の顔だからいい人材を充てている。一方で人材開発部門においてはどうなのだろう・・


なぜこうなってしまうのか。ITと人材開発部門は職務の性質が極めて似ている。それは習熟までに多くの時間を要するのに、総合職のローテーションルールに乗るととてもプロ人材にはなれないという点。結果として、外部ベンダー依存の腰掛社員となり、ベンダーとの折衝程度の仕事に甘んじることになってしまう。


ITと人事は日本企業のアキレス腱。この2つの部門にいることが傍流を意味するなんてあり得ない。この職務にプロとしてコミットした人たちがこの組織で仕事ができる仕組みができれば企業は大きく変わっていくよね。