日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れている理由の一つとして、データサイエンティストやIT人材がベンダー側に偏重し、その比率たるや約7割近くになってしまっているという原因が指摘されています。
さらにそのITベンダーは顧客特有の独自要件を開発工数が嵩むという理由で丸呑みして開発する。結果としてプロセスもデータもおおよそ標準とはかけ離れたレガシーシステムができあがる。
そのレガシーシステムがDXを阻害するさらなる要因となっているわけで。日本のDXが進まない原因は大手ITベンダーにすべてを任せる『丸投げ構造』にあるといって過言ではありません。
じゃあ社内で育成すればいいか?というとそんな単純な話ではなく、優れたDX人材になり得る人はキャリアパスも報酬も全く魅力的ではない事業会社のIT部門やDX推進部など志望するはずもないのです。
そう。一番の原因は事務系高度専門職のキャリアパスと報酬を担保できる仕組みが多くの事業会社にないこと。マネジメントの任に就かなければ、高い報酬や権限を手にすることができない。そんな環境を好き好んで目指す人材は、かなり奇特な人かさもなくば制約のある人だけでしょう。
以前もそんなパラダイムでした。高度専門職を集めた戦略子会社を作って業界水準でみて本当に高い報酬を付与できない。結果として集まるのは未経験か無理ができない制約社員。人様の仕組みを作る会社がそんな有様なのですから、普通の会社であればもっとひどい状況だと思うのです。
マネジメント人材が優位で専門人材が劣位というパラダイムで回っている会社は、第四次産業革命にはまず生き残れないでしょうね。