Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

業務というOSの上に乗るもの

システムコンサルティングをしている際において一番重視していたこと。それは現状業務の正確な把握と改善要望の明確化でした。いくらシステムを早く開発しようが、最初の時点で躓けば砂上の楼閣。


ですから、顧客インタビューや資料収集を徹底的に行い、現状と改善後の業務プロセス、機能マトリクスを時間をかけて明確化することをしていました。


この過程でいつも感じていたこと。それは、業務の正確な全貌や処理手順を誰も分かっていないということ。ですから、どこに無駄があるのか、何を残して何を変えるべきなのをジャッジできないのです。


業務フローチャートを見せると言われたものです。
「こうなっていたんですね・・分かりやすいですね」


このタスクをすると、業務を経験しなくても1年ほどで凡そ内容は把握できます。10年もその会社にいて実務を行っているのに業務の詳細を分かっていない。これではIT化などをしても果実は手にできなくて当然です。人材育成も時間がかかるでしょうね。


同じ問題は人事制度改革、こと職務等級制度の導入でも起こります。職務評価をしようにも職務の内容が良く分からないのです。結果として曖昧さを多分に残したインタビューで職務評価を行うしかない。システム導入時よりもはるかに少ない材料で判断するしかない。妥当な定義ができるとは思えません。


ジョブ型雇用を行っている米国においては、もはや職務記述書は形骸化しており、書かれていたとしてもラフなものしかない。よって日本においてジョブ型雇用を行う際に職務記述書を労力と時間をかけて整備するのはナンセンスであるという人がいます。


それは業務の標準化、IT化が進んでいる米国と業務の属人性が高い日本とでは状況が違っていることを前提に考えた方がいい。


米国における職務記述書は、巨大な標準業務の上に一部突き出している海面上の氷のようなもの。ですから、ここがラフに書かれていても大きな支障はない。日本においては、職務記述書もさることながら業務の標準化、見える化を徹底して行うことが必要でしょうね。


結局、ジョブ型も働き方改革も可視化された業務プロセスというOSの上に乗るアプリケーションなのです。OSがダメならいくらアプリケーションを変えてもダメなのだと思うのです。