『今日は家で仕事なの?』
羽田で独り暮らししている娘から日中に連絡があった。今日は朝から東京で仕事。「映画でも観るのかい?」と訊くとそうだという。先日あったときにPerfectDaysを観たいと言っていたのを覚えていたらしい。
時期が大分過ぎたため、夜の上映をしている映画館は都心ではなく、みなとみらいで20:30から。みなとみらいで19時に待ち合わせをし、夕飯を二人で食べてからいくことにした。
実習が終わってシフト勤務が始まった彼女。今日はとても忙しい一日で、しかもストレスの溜まった一日だったらしい。明日も勤務なのだが遅番の日。映画を見て気分転換でもしようと思ったのだとか。
まだまだ慣れない中で、思うに任せないことも色々とある。こういう時は、美味しいものを食べて映画でも見るのが一番。
PerfectDaysは、Pen3月号でも監督の寄稿が掲載されており、東京を違う視点から映し出した映像が観てみたかった。
映像には台東区、墨田区を中心として隅田川のシーンが多く登場する。浅草、両国ジャンクション、隅田公園、桜橋…
僕が2年間ランニングで走っていた場所が随所に出てくる。役所広司と三浦友和が影踏みをした所は、暑いときはいつも階段に座り込んでクールダウンしていた場所。
『お父さん位の男の人の感覚を描いた映画だよね…』
確かにそうかもしれません。もし、僕が家族と別れて独りで生きていくとしたならば、台東区あたりの煤けたアパートに住んで、銭湯に通うことを日々の小さな楽しみにして暮らすのも悪くない…とかつてから思ってましたから。
観ていて思ったのは、この映画の世界観は缶コーヒーの『BOSS』そのものだな…と。ここに描かれているのは、このろくでもない、素晴らしい世界…なのですよね。