Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

執着心と志望理由

人が生き生きと働ける社会を作りたい、人が成長することにやりがいを感じる・・


組織・人事コンサルティングの世界を志望したいと言ってくる人に多く聞かれる志望理由です。否定はしませんが、この理由で仕事を選ぶなら、世の中には他にも数多の仕事があります。人が成長することにやりがいを感じるのであれば、事業会社で部下を多く抱える管理職を目指しても良いのです。全ての仕事はより良い世の中の実現に向けたサービス、商品を提供しています。


そうなのです、この志望理由は職業選択の必然性を何ら示していないのです。そもそも、コンサルティング業界である必要性すらない。ましてや組織・人事のテーマである理由でもない。


こんなロジックジャンプした理由しか言えない時点で、突き詰めて考える力が足りないことを露呈しています。ですから、組織・人事のテーマに関して最近読んだ書籍や雑誌において、記憶に残っているものがあれば教えてください・・と問いかけると、そういう人たちは答えに窮してしまうのです。


それはよく有ることですから、物事を突き詰めて考えていく執着心を確認するわけですが、当然に曖昧模糊とした志望理由を蕩々と話すことでコトが足りると考えている人においては、正解を答えることには長けていても、自ら問いを立てて考える事は全く出来ないケースが大半です。


探究心や執着心といったものは育成ではなんとかできるものではありません。Big5の「開放性」と呼ばれる性格特性はティーンエイジの頃までに形成され、その後はあまり伸びていきません。ですので、いくら学歴が良くて立派な会社にいたとしても、探究心や執着心に欠ける人は、この仕事においては向いていないので絶対に採用してはいけないのです。これで、過去何度痛い目に遭ったことか分かりません。当人においても、強い動機や欲求のないことについては、義務感や誠実性で補えるものではないからです。


志望動機において僕が望んでいる答えは、自分自身の性格や傾向、そこに基づく職業イメージや貢献の姿です。結局、人は自ら与えられた能力を活かすことで世の中に貢献するのであり、世の中に貢献することを目的として仕事を選択するものではないからです。結局、それが答えられないというのは、自分自身に対する理解が足りないからなのでしょう。

 

僕は人を好きになったときにその理由を自分なりに言語化できないと嫌でした。相手に失礼だとも思ったからです。どうしてこの人でないと駄目なのか、単に見た目が良いと感じたからなのか。見た目から感じたこととは何だろうか・・他の人とは違うところは何だろうか。考え、言葉を探し、ある確証を得ることにエネルギーを割いていた気がします。


エンゲージメントなんていう位ですから。仕事選びは生涯を共にするパートナーを選ぶことと同じ。好きになる相手をこだわらないという人ならそれでいいですが、プロフェッショナルワークを選ぶ人においては、それは欠かせない基本的な資質なのだと思います。