コンサルティング業界は、かねてから学生の人気が高い。近年では採用が熾烈になっていることもあり、学生を集めたい企業においてはコンサルティングを標榜して人集めをしようとする企業も少なくない。
募集職種をXXコンサルタントとするだけではなく、会社名にコンサルティングと入れるところも。
コンサルティングと一言で言っても千差万別。システムインテグレーターであったり、アウトソーシングサービスであることも多い。
かつてアンダーセンコンサルティングという社名を改称したアクセンチュアは、今やピュアなコンサルティングビジネスが主体ではない。オペレーションアウトソーシングが主体であり、そこに従事している社員はおおよそコンサルタントとしてのスキルセットや経験を持ち合わせていない。
問題は、そこにいる人がその事実を捉えているかということ。顕在化した課題をストラクチャードな手順で解決するコンサルティングと特定のパッケージやソリューションに依拠しないコンサルティングは、スキルセットもマインドセットも全く異なるから。
昨日もそうしたいわゆる顕在化課題を定型的なアプローチで対応するコンサルティング会社にいる方との面談だった。
彼女は、RPA(ロボットによる業務自動化)を目的としたコンサルティングサービスに従事しているのだが、そこでいくつか携わった組織・人事系のテーマに興味があり、専門ファームに転職したいのだという。
興味があるのだったら、どんなテーマに関心があるのか?最近読んだ組織・人事系の書籍、論文について教えて欲しい…訊くとまともな答えが返ってこない。
興味って、そんな程度か…
そもそも、コンサルタントを志望しているのにバクバクに緊張しているのも気になってしまう。自己肯定感の低い人は、ネガティブフィードバックや難易度の高い課題にすぐに折れてしまうから。僕らの仕事ってそんなに周りにチヤホヤされる仕事じゃないからね。
どうして、大学院を卒業した後にコンサルティング会社に入ったの?と聞いてみると、自分の強みは問題解決能力であって、学生の時のアルバイトでそれを体現したのだという。
・100円ショップのアルバイトをいていたときに、売上が減少しているという事象があった
・原因を探るために店舗を観察していると、お店に人が入って買おうとしていてもレジに誰もいないために買わずに帰ってしまう事が多いということが分かった
・それでお店に2人を配置し、誰かがレジにいるようにしたところ、売り上げを上げることができた
もし、今同じ事象に向き合ったら、何をしますか?同じことはしますか?と聞いてみる。これに対しても答えに窮してしまう。彼女においての問題解決能力とは、目につく原因への対処だけなのだ。
組織・人事というテーマにも、問題解決プロフェッショナルとしてのコンサルティングにおいても執着心がない。残念ながらストラックアウトだ。一見立派なのは、大学院の経歴なのだがその前の大学を見ると、ただの学歴ロンダリングだと分かってしまう。とはいえ、大学なんてどこだっていい。
なんだかな…
人材エージェントってもうちょっとましなアドバイスやカウンセリングができないものなのかな。こんな甚だしい勘違いの状態のクライアントを、即戦力で自律性が高い候補者です…なんて直ぐに剥がれるメッキで転職活動に送り出すのは、双方で不幸だよ。