Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

大人になること

新制度導入に伴う新給与計算オペレーション。一人一人通知する給与通知は、ミスがあってはいけない。特に新しい等級と給与の変動が生じた社員にはデリケートな措置が発生します。

 


クライアントのこれまでの計算は若干トリッキーで、エクセルと給与システムの両方に計算式が登録されているもの。しかも、計算ロジックの仕様書がない。プログラムソースだけがあって、要件定義書がないというパターン。

 


こういうケースは、迂闊に式をいじるとトラップにはまる。ロジックをしっかり可視化して双方で握った上で数式を埋め込まないといけない。プログラムで言えば、REM文にしっかりロジックと変数を記載しておくべき。

 

 

 

駆け出しの新人とマネジメント経験の未熟なリーダーは見事にトラップにはまりミスを頻発。リーダーが仕様を握らずにスタッフに指示をしたため、計算結果がところどころ違う。一度とはならず数度のミスにクライアントも怒り心頭…

 

 

 

ジェンダー学を大学で専攻したスタッフの彼女は、もともとエクセルやロジックに強くない。文章やメディアを創ることが得意。苦手なことで生じたミスもあり、自信を喪失してうなだれていた。自分はこの仕事に向いていないのだろうか…

 

 

 

あまりにオフィスで意気消沈しているので、1時間くらいオフィスで話を交わし、飲みに行くことにした。

 

 

 

23歳の新人が、組織・人事の領域で仕事の面白さとかやり甲斐とか、そんなことを簡単に味わえるものじゃない。この仕事は、広さと深さが要求されるもので、組織のことも人間のことも、はたまたエクセルのテクニックすらも満足に知らない人が人に影響を与える仕事なんてできるはずもない。とはいえ…

 

 

 

僕だって若いときは出来損ないだったし失敗も何回もしたし。馬鹿にされたり、使えないやつだと思われたことだって何度もある。いろいろ寄り道もしたし。

 

 

 

総合力がついて本当の意味で相手の力になれるという感触が持てるようになったのは40代半ばを過ぎてから。そもそも、30代半ばでキャリアチェンジしてますしね。スロースターターですからね。

 

 

 

彼女の学生時代の話や将来のキャリアを聞きながら、そんな話をしたのですが、冷や汗、恥をかいて成長していくことの意味は、最高学府を卒業し、成功体験を積んできた20代では解ろうはずもないのでしょう。それが分かる年頃になってから、組織・人事の領域は始めても遅くはないくらい。

 


彼女を見ていて、いわさきちひろさんの『おとなになること』の文章が頭を過りました。

 

 

 

彼女は組織や人に感心があって頭もいいと思うのですが、まだまだ自分が中心なのです。いわさきさんは、大人というものはどんなに苦労が多くても自分の方から人を愛していける人である…と言っています。

 


そのためには、冷や汗をかき、苦労をして、地味な努力を重ねていくこと、相手の立場に立って物事を考えることの大事さを肌で知ること。それにしては若すぎますね…