久しぶりに出会った同僚のTさん。彼女が僕らの組織を離れて1年ばかりになる。通った芯と柔らかな人あたり。組織における精神的な支柱だった。
『最近、どんな案件をしているんですか?』と彼女に尋ねられた。
「人事制度改革、組織開発、リーダーシップ開発、社員意識調査分析、キャリア開発、昇格制度変革、アセスメント面接…引き継いだ案件もあるけど、比較的いろいろなテーマやらせてもらってます…」
「最近は、案件が多くて僕も含めてメンバーの稼働も逼迫して、全体に余裕がなくて。ちょっとギスギスしているんですよね。Tさん、週1日でもいいから、戻ってきませんか?」
『昔は、案件がなくて何をするか…なんて集まって話していたからね。それと比べると、今の課題や悩みは、組織が新しい次元に行こうとしているからなのよね』
僕の言葉に微笑みで受け流しながら、彼女はそう言ったのだった。
考えてみれば、これだけバラエティに富んだ案件を遂行できるというのも組織・人事コンサルタント冥利に尽きる話である。10年前にPwCにいた時には、とても考えられなかった状況である。あの時は、一つの案件を取るのに必死だった。時は、リーマンショック後で業界全体が急速にしぼんでいるときだった。
果たして僕は組織・人事領域のキャリアはブラさずも、チェンジを余儀なくされた。僕の後においても多くのメンバーが、組織を去らざるを得なかった。
その頃に比べたら。ある意味贅沢な悩みである。志を持った仲間がいる、様々な期待を寄せるクライアントがいる。どう次のステージにみんなで登っていけるかなのだよね。