Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

両利きのキャリア

両利きの経営とは、一定分野の知を継続して深めるExploitation(知の深化)と新たな知の範囲を拡げていく「Exploration(知の探索)」をバランスを持って行うということ。


前者を推し進めていく方が効率がいいため、知の探索は怠りがちになる。このことで知の範囲が狭まり、結果としてイノベーションが停滞し、衰退していく結果に陥る。日本企業の失われた30年は「知の探索」を怠った結果といってもいい。


同じことは個人のキャリアにも言える。一つの専門分野を極めたところで、それで一生食っていける人は一部に限られている。会社の命のままに異動ローテーションという探索を行っているだけでもだめ。探索と深化の両方を意識して追いかけていくことが大事なのだ。そもそも人の可能性はいくつもあるものだし。


僕も、ミドル・シニアのキャリアというテーマについては10年以上も行ってきたのでそれなりに深化は出来たと考えている。今後もこれだけを深化していくか・・というとそれも違うのだろうなと。元々、組織・人事というドメインもミドル・シニアのキャリアというテーマも「探索」の中から偶然に拓けてきたもの。そこで見つけたものだけを後生大事にずっとやっていくのか・・というとそれも違う。そこに期待している人も頼りにしてくれる人もいることは分かっているけど。


僕の特性として、一つのことをとことん突き詰めていく深化より、様々なものを見つけて組み合わせていく探索の方が性に合っている。そうなると新たな探索の働き方を自分で考えていかなくちゃいけない。


ほぼ日のCFOを50歳を前に退任した篠田真紀子さんがこんなことを言っていました。


『いろんな可能性を広げたいのであまり決めていないのですが、「やったことある」とか「できそうだな」と思う領域は多分選ばない気がします。』


『ただ一つ、指針とも言えるのが、30代の頃、投資家の梅田望夫さんの著書で出合った言葉、「迷ったら見晴らしがいい場所を選びなさい」。見晴らしがいい場所——つまり、既に誰かが作り上げた完成物があまりないような、これからどうなるか分からないような場所。そのほうが未来を自分の手でつくれるのだから面白いぞと』


この考え方、意見にはとても素直に共感できます。


そして、彼女はこうも言います。


『仕事と人生を、干支のサイクルと同じ、12年ごとの周期で分けて考えるようにしているんです。12歳まで、13~24歳、25~36歳、37~48歳、49~60歳……というふうに』


『基礎の型が身に付いてやっと自分なりのスタイルを見つけていくのが、37歳から48歳にかけての4周目。49歳から60歳までの12年間は、まさに自分ならではの生き方を表現していく面白い時期』


そうなんですよね。だから、組織の都合とかに惑わされず、見晴らしの良い場所を目指して探索をしてみる。自分の人生なのですからね。