Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

人は環境に隷属する生物

『人は環境に依存する生き物。いくら頭でこうしようとか考えていても、環境次第で変わってしまうものなんです』(養老孟司)

 


仕事においては、『何を』『誰と』『幾らで』という3つの判断要素がある。専門性コミットメントの観点では、『何を』『幾らで』という要素が重要。また、『どこで』という要素は、プロフェッショナルキャリアにおいてはウォントであってマストではない。正直、知名度やブランドなんてどうでもいい。

 


見過ごせないのは、『誰と』という要素。誰と一緒に働くのかというのは、能力の覚醒という観点でも精神衛生の維持という観点でも一番大きな影響性を持っている。リンダ・グラットンが人的ネットワークを変身資産だと名付けたのは言い得て妙だ。

 

 

 

一緒に働いている仲間が心おけない信頼できるいい人であれば、『何を』『幾らで』は多少妥協ができる。持ち味に配慮し、成長できる仕事を与えてくれる、存在・行動・成果を認めてくれる上司や同僚。これはプライスレスな価値だ。バズワード的にいえば『心理的安全性』。

 

 

 

これが崩れてしまったとき、『何を』『幾らで』が論点になる。

 

 

 

そうならないようにするためには、採用において、学歴、職歴という情報や面接という合目的的な会話ではなく、ざっくばらんな対話での印象を大事にすること。様々な人に会ってカジュアルな会話をして、一緒に働きたいか…を判断してもらう。それで良いとなったら、そこで初めて職務経歴書をチェックして面談をする。

 

 

 

組織の人間関係というのは、エコシステム。たった一人の異分子が入るだけで、ネットワークが壊れてしまうことがある。特にマネジメント職であればなおさら。

 

 

 

違う側面においては、キャリアというものは誰をパートナーに選び生活をともにするかで左右されてしまうもの。全国配置転換を前提とする金融機関のような職場においては、配偶者のキャリアというものは完全になきものとして扱われる。家庭人としての役割も軽視される。

 

 

 

スーパーのライフロールレインボーで言えば、職業人としての役割だけで、他の役割は果たせない。マルチステージキャリアの実現においては、夫婦の役割分担こそが鍵だが、これも期待できない。

 


自分らしいキャリアを描きたいなら、相手の性格や勤め先が極めて重要といえる。『誰と』一緒に生活するかは、環境そのものでありそこには人は抗えないのだから。