人は、大切にしているものを踏みにじられると、怒りの感情がわき上がります。そして、それを失うと悲しみの感情が生まれる。大切にしているものを手にしようとするところに、希望が生まれてくる。何を大切にしているのか・・それを理解しておくと自分の感情の揺らぎの原因を把握し、意志決定の拠り所になります。
大切にしているもの・・それは価値観と呼べるものであり、人によって違うものです。2年前の送別会において、キャリア事業のメンバーから僕のことをよく表現している価値観として選んでくれたのは、
・美しいものを追求していきたい
・新たな出会いや自分が知らないことを経験し続けていきたい
・自分のアイデアや工夫を形にしていきたい
・誰かの期待に応えたり、手助けしていきたい
・これまで培ってきた自分の専門性や経験を活かしていきたい
でした。
どれも僕という人間の側面を的確にとらえています。皆さん僕のことをよく見ている方だったと思います。
袖ふれあうも多生の縁、類は友を呼ぶといいますが、今の環境は性格や振る舞いが一見違うように見えるメンバーもどこか似たような価値観を持っています。今日は、そんな一人の同僚の方の最終出社日でした。
クールで計画的に物事を勧めるのが得意のKさん。僕は、どちらかというとワイワイ議論しながら、ノープランで相手の反応を見ながら柔軟性を担保しものを進めることを得意としています。対局にあるといえるでしょう。
クールでドライに見えるKさんですが、僕が2年前に新たな環境に身を置くことになり、不安な初日からホスピタリティ高くサポートをしてくれたのが彼でした。別に受け入れの担当でもなんでもないのに、自身のプリンシプルとしていつでも誰に対しても暖かくサポートをしている。外資系でドライでいけ好かない態度の人はいましたが、この組織ではやって行けそうだ・・とその時に思ったものです。
後に聞くと、N経営研究所で僕と長く一緒に仕事をしたYさんが上司だったといいます。世の中は、なんて狭いのでしょう。
対局のKさんと僕とで共通点があると感じたのは、明確な美意識と強い正義感を持っているホントは熱い奴なのだということ。簡単に物事を割り切らず、疑問があれば誰にでも意見をするし、釈然としない、美意識を踏みにじる対象には怒りを見せる一面もある。
彼には実現したいビジョンと美意識があった。それを解さない上層部へのもどかしさも募っていた。顧客は愛せるどころか、醜く疎ましい存在だった。だから、新しい環境を選ぼうと考えた気持ちはとても分かるのです。
キャリアをテーマとしている僕としても、組織のために我慢をするなんてあり得ない。新しい世界で頑張って欲しいと思っています。でも、もうちょっと一緒に仕事をしてみたかった。最後、彼がPMをしていたプロジェクトを引き継ぐ中で、ようやく彼と関わる機会が持てたのです。彼には僕の発想は間違いなくないし、僕は彼のスタイルで仕事をすることは出来ない。補完し合う存在なんだと改めて思ったから。まあ、でも世界は狭いからまた触れることもあるのでしょうね。