Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

苦悩への意味がアイデンティティ

フランクルの公式。絶望=苦悩-意味。

人生における苦悩(トランジション)の到来はコントロールできない。諸行無常であり仕事、自分、家族の変化に伴って生じる苦悩は、生きている限りは尽きることは無いだろう。

そうなると、その苦悩を前提にどう「意味」を置いていくのかがカギになる。そして、その「意味」こそがその人らしさ、アイデンティティとも言える。


ある苦悩において見出した「意味」は、異なる苦悩には同じく適用できない。だから、訪れる転機(苦悩)の度に新たに意味を模索していくこと、それこそが個性化に至る道であり、キャリアそのものなのだと思う。


広島大学の岡本先生は「アイデンティティの螺旋形発達モデル」というものを提唱している。このモデルをフランクルの公式と合わせて見ていくと非常に味わい深いものになる。


2つのモデルからは、苦悩は見出せなかった自分を見出すための好機であるという捉え方もできる。もちろん、苦悩は無いに越したことはないけど。


一番リスクが高いのは、自分のアイデンティティを根底から覆してしまうような苦悩を味わうことなく、成功体験だけを重ね中高年を迎え、そこでアイデンティティを奪われるような出来事に直面すること。特に中高年男性においてはライフイベントでの転機が少なかった分、転機に対する免疫が低い。それによって起こるのが中年の危機(ミッドライフクライシス)だともいえる。


座禅においては打たれまいとすると、却って体に力が入り、打たれてしまう。であれば、考え方を変えて自ら打たれに行こうとする姿勢をもつことが肝要。


さすれば、転機は自らのアイデンティティを拠り所に創りに行くのがベスト。ただし、転機というのは「何かを終えること」をしない限りは訪れないということをどれだけの人が分かっているのかしら。