Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

Quick & Dirty

新たなサービスやプロダクトを開発していく上では、ニーズ仮説のもとにプロトタイプを早くリリースし、市場の反応を確かめながら完成度を上げていくアプローチを採っていくことが効率的。


マーケットのフィードバックを得ずに内に籠って製品の完成度を上げたとしても、余計な時間を要して機会損失が生じるとともに、価格転嫁できない不必要なことに労力を割くだけになってしまう。


日本と米国のモノづくりの対比としてよく言われるのが、日本がとにかく「完成」の基準にこだわるがあまり、市場へのリリースをせずに完成度を上げるべく時間と労力をとにかくかけるのに対し、米国はベータ版として不完全な製品やサービスを市場にどんどんリリースして、その後に完成度を上げていく。スピードという観点でも、適正な顧客ニーズの反映という観点でも米国型の方が理にかなっているわけで、「完成」の基準が内向き観点で異様に高い日本においては、競合の動きに乗り遅れてしまうことも少なくない。


「Quick&Dirty」


たたき台をスピード重視でリリースする。そして、色々な人に叩いてもらって完成度を上げていくというアプローチは、仕事においても同じ。ネガティブな意見を聞きたくない人においては、とにかく人に成果物を見せようとしない。締め切り間際になって、まったくオーダーしたものと違うものが出来上がってくる。当人のエゴや小さなプライドに縛られて、結局は全体に大きな迷惑をかけることになる。自己肯定感が低い人はこういう仕事の仕方を何度注意をしても直せないわけで、結論としてそういう人は「正解」のないコンサルティングのような仕事は全く向いていない。


この原理原則は、エンプロイアビリティを上げていくときにおいても同じ。


日本のメーカー的な「完成」のパラダイムに縛られている人に多いのが、とにかく箔をつけようと資格取得や学校にいくことがエンプロイアビリティを上げることに繋がると思っている人が未だに多いということ。結局、資格やMBAなど投資する時間と労力に見合ったリターンが来るわけではない。見返りを期待するのではなく、それが自分自身にとって「楽しい」のならいいけど。


それよりも、自分自身のスペックを職務経歴書という形で明らかにし、マーケットにリリースしていく方が遥かに効率的。もちろん、そこには見る相手の視点が反映されていることが必要になる。ただし、相手が抱えている「問題」という「不」は相手によって全くことなるものであり、多くの人の目に触れていけば、「価値がある」と判断してくれる相手とのマッチングも生まれてくる。そこには高い価値が付く。それが市場原理だ。


結局、「価値」というものは絶対的なものではなく相対的なものであるのだから、資格や学歴といった「絶対的なもの」に依ることには何の意味もない。とはいえ、マーケットに早くリリースしていくことが、良いサービスやプロダクトを作ることに繋がるという原則を分かっていないと、この間違えた努力をすることになってしまうんだよね。