Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

キャリア・インタビュー

広告代理店で入社17年目次のキャリア研修講師を請け負うことになった。


他のコマでは、花田光世さん、野田稔さん、高橋俊介さんというそうそうたる顔ぶれが講師を務めており、キャリア分野のオールスターキャストといった様相。さすが大手広告代理店。

 

昨年は法政石山先生が務めたコマ。石山先生からの推薦はあったものの、僕に継承させるかどうか、ということで社内で検討してくれたのだが。昨年書籍を出版していたこと、人事部メンバーが書籍を熟読してくれて僕のことを強く推してくれたことで、今年度は僕が務めることになったわけで。立派な人と同じに「先生」とか呼ばれたくないんだよね・・・こそばゆいから。


研修構成としては、僕はアカデミックな理論の話をする立場にはなく、実学的観点からのものにしていきたい。特にワンウェイの講義はなるべく避けて、ブレイクアウトセッションを入れていく。その一つのセッションにおいては、社員インタビューの内容を用いて、自分の今後や行動のあり方を考えるのはどうか・・と提案をしたら、先方も共感してくれ6人のインタビューイーをリストアップ。先日、最初の一人の方をインタビューさせてもらった。


一人目は、その会社で初めて女性局長になったという人。姉御肌で竹を割ったような豪快かつストレートな性格で、どこにも力が入っていない。とても自然体に生きている人。人生においては、「結婚」が一番大事だったことで、それが出来た以上は仕事のことなんて、大したことないって思っている・・なんてことをサラッと言ってのけちゃう。


彼女の入社動機は極めて明快で、父親が金融機関に勤めていたこともあり、中学生の時から日経新聞を読んでおり広告業界の果たす意味について学生時代から考えていたのだという。入るにあたってその会社の30人に会って話を聞いた・・という行動派。


入社後も自分がやりたい仕事はとことん考えて周囲に公言し、機会を手繰り寄せている。とはいえ、管理職になって上に行こうなんて露にも思っておらず、自分が得意、今後やるべきと思ったことを新たなミッションにし続け、結果として局長になっている。


自分は、定年後にやりたいことも決まっている。それは日本語講師。私は、先行きが決まっていないことが何より嫌なのよ。そもそもね、私は人から評価されたいと思って仕事をしたことはないの。自分で思った大義のために仕事をしている。入社の時から、今もずっと..


40歳だった時、思ってもみない最低の評価をされて上司に食って掛かったことがあった。一晩眠れない中で自問自答したのよ。で、気が付いたの。私は評価されるために仕事をしていたんじゃなかったってこと。それ以来、軸がブレなくなったわね・・


そもそもね、結婚が一番大事だってことは家庭のことが一番大切なのよ。だから、仕事で偉くなるか、評価されるかどうかなんて関係ない。でもね、人のことは大事にしなくちゃ会社は成り立たないって思っている。次世代リーダーコースのレポートにもその事を書いたわ。その後、業界を揺るがす事件が起きたのよね・・


私ね、そんなに友達はいないのよ。でも、確かにあなたが言うように自分のやりたいことは人に話すようにしているわね。人に合わせに行くんじゃなくて、相手には自分のことをしっかり話す。思い出した・・私、父が転勤族だったから転校が多かったの。で、必ずいじめられるのよね。私、可愛いタイプじゃないでしょ。ブスとか言われてさ。でも、そういう時に相手には絶対に合わさない。自分の思っていることはハッキリ言う。その内、相手も分かって受け入れてくれる。そのことを肌で学んだのね・・もしかしたら、会社に入ってからも同じことをしていたのかもしれない。自分はこういう人だって、しっかり言って分かってもらうことが大事だったことをね・・


こんな話でよかったんだっけ。楽しかったわ、ありがとう・・


彼女の軸のブレなさや自然体のスタイルは、同世代の男性にはきっと真似ができないところ。彼女に会って、改めて女性の方が有限性を認識してキャリア自律をしている。昔から同世代で刺激になったり参考になるのは女性だったな・・ということを思い返したのでした。