人は生まれながらに備わっている欲求がある。それは大きく5つあり、「生存の欲求」「愛・所属の欲求」「力の欲求」「自由の欲求」「楽しみの欲求」で構成されている。その欲求が実現されたイメージを「上質世界」と呼び、上質世界が塗り替えられなければ、大きな意思決定や行動は決して変わることはない。
これは、ポジティブ心理学の権威であるW・グラッサーが提唱する「選択理論心理学」の考え。5つの欲求は、「動機」ともいえるものであり、アクセル、ブレーキ、ハンドルといった車の基本特性を決定づけている。「上質世界」とはその車が向かおうとしている目的地といってもいい。ちなみに、5つの欲求は遺伝的、先天的に決定づけられているから大きく変えることは出来ない。出来ることは車の特性を理解し、上質世界のイメージをよりよいものに変えていくことだけ。
ちなみに、僕の場合は「楽しみの欲求」と「自由の欲求」が高く、「生存の欲求」や「力の欲求」は高くない。だから、会社に縛られて出世競争をするなんて全く興味がない。むしろ、新しいことを学び、知的好奇心を満たすとともに、裁量をもって自由にやれたらいいと考えている。だからフリーランスの働き方は不安定ではあったものの居心地が良かったし、今のベンチャーでの働き方も全くもって性に合っている。組織長なんて拝命しているが、究極そんなものは人に幾らでも譲っていい。力の欲求がないから。
人は一日に3.5万回意思決定を行っている。その意思決定の因果として今の自分がある。自分の人生を生きるとは、自分が持つ基本的欲求の充足に従っていくこと。そして、自分という車が到達しうる「上質世界」を常に更新していくこと。
昨日は、大手食品メーカーの方々にキャリア研修の講師を行いました。コンテンツは、リンダグラットン「ライフシフト」をコンセプトに、ライフラインチャートを軸に選択理論、R-cap(CI、GIAL、BSI)による自己理解を組み込んだもの。様々なコンテンツをコンビネーションしたオリジナル研修。
SPI、R-cap、選択理論、MBTI、DISC、エニアグラム、エゴグラム、Big5アセスメント(キャリパー、ストレングスファインダー、Saville)、EQ..
カウンセリングを起点としたキャリアでしたから、自己理解のためのアセスメントについては幅広く精通してきました。もともと、自分という人間はどのような人間なのか、何が得意で、何が不得手なのか・・数々の挫折や転機の中で突き詰めて考えてきたので、自己概念はだいたい把握が出来ています。
一方で、社会人で働いている多くの人は、組織から与えられた仮初めのペルソナを取りさった上での素顔の自己概念についてあまりに無頓着だったりします。置かれた場所で咲くことも時には必要だけど、自分という花がどのような土地に植えれば綺麗に花を咲かせるのかを考えるための機会と習慣を設けていくことが、人生100年時代においてはリカレントの前に必要なんだと思うのですよね。