人が生きていくためには、交換をしていかなくてはいけない。だが人が生きる理由は交換にはない。
人は、生まれてから日々、息を吸い、食物を食べ新陳代謝を繰り返して生きていく。そして、労働し、お金を稼ぎ日々の糧を得る・・・こうした交換の中で人は生きている。でも死に際に「貴方の人生は何だったのか？」と聞かれ、交換に類することを思いめぐらせる人はいない。
だからこそ自分は教え子たちに究極のプロポーズというものが何か、という事を教えている。それは、簡単に言えば、「理由なんかなくて、お前の事が好きだから」って台詞。
趣味がいい、瞳が綺麗、プロポーションがいい、優しいから・・それは好きになる上で、その条件と交換して好意を抱いているという事。どんな状態であったとしても、その状態が普遍的でない以上、抱いた好意や愛情というものも永続的ではない。無条件に相手の事が好きだからというのが本当の愛情。
結婚式で必ず行うケーキ入刀。縁を結ぶという日本人の考え方からすると、切って差し出すということはまるでそぐわない様に思えるだろう。でもこれは、キリスト教の考え方から来ている。自分の身を切って差し出します・・ということを意味するのがケーキ入刀。結婚というのは奉仕の秘跡であり、奉仕は見返りを期待しないものなのだから。。。
これは、かつて娘の学校の講座で聞いた南山高等学校校長 西神父様の話。
結婚式で恩師である先生がこうも言ってた。それは、結婚した以上は物事の優先順位を変えなさいというもの。
自分を優先にするという事は、短期的に交換して手に入る物事を優先するということ。奉仕というのは、その行為を行ったとしても何かすぐに手に入れるものはなく。でも、それを行うのが結婚なのだ・・と僕は解釈しました。
とはいえ、何も見返りが無いという行為に心を傾けるのはなかなか容易いものではなく。それが愛であり、結婚するという事なのでしょうね。
