Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

自分らしさを守る強さ

『会社のためにではなく、自分の幸福のために働け』


本田宗一郎さんの名言である。トップが言い切っているところが素晴らしい。本田宗一郎さんは仕事に妥協を許さず、模倣をよしとしなかった。一方で、仕事の合間には派手な遊びをしたことでも有名である。

 


人間が生きる目的は幸せになることであり、楽や快を求める存在。そこに執着することで創意や工夫というものも生み出される。一人一人の力を最大限に引き出す経営をするのなら、会社のためにではなく自分のために働け…というのは本質なのである。

 

 

 

先日キックオフがあった。そこでは、各サービスライン別に昨年度行った一番いい仕事について発表し、投票でグランプリを決めるというセクションがある。そこである部署の発表がとても引っかかってしまった。

 

その組織は、自分たちの残業時間の多さに対し、ワーキング活動を行い、時間削減をしましたという発表だった。それだけならいい。でも、一番最後に組織長をヨイショするスライドをこれ見よがしに入れているのが気になった。

 

 

関係の無い部署の人間にまで上長を持ち上げる内容をわざわざ見せ、何がいいたいのか。そこは普段から、組織長とメンバーがわけあいあいとコミュニケーションしているわけではない。

 

残業時間の多さは、組織長に戦略性やコミュニケーションを円滑にさせ創意工夫を促すマネジメント力が欠けていることが温床だったりする。突き詰めれば、部下の幸せに関心が無いリーダーの問題だったりするわけで。なのに部下達はとってつけたように公で上にへつらう。その感覚はおかしい。

 

 

懇親会でそこの部門の一人が僕に声をかけてきた。


『僕はいつも石橋さんと話してみたいと思っていたのですよ。なんて言うか、ちょっとライバルだって思っているんです』

 

 

 

きっと、組織を活性化させていく役割を果たしていくのが管理職だという立脚点に立った考えなのだろう。

実際に僕等の組織は結束力も満足度も極めて高い。日常のコミュニケーションも活発だ。こちらは視界にもないからライバルという表現は、なんかしっくりこないのだけど。

 

せっかくなので彼に聞いてみた。あなたたちの発表は、少し変ではないか。自分たちの仕事自慢なのに、なぜ上司をそこで持ち上げる必要があるのか?あなたたちは、誰のために仕事をしているのか?…と。

 

『石橋さん羨ましいですよ。いつも、正論を貫けて。それでもってみんなと楽しそうにやっていて。自分だって、そう思っているんですよ』

 

思うなら、やればいいじゃないか。上にへつらうなんて、一番安易で頭の悪いやり方だと思うのだけどね。顧客の成功のためではなく、自分たちに実は関心の無い上司の成功の為に生きる人生に、一体なんの価値があるのだろう。

 

でも、思うんだよね。自分らしさを保つ、信じたことを貫いていくためには、強くならなくちゃってコト。人との勝ち負けのためにではなくてね。