鎌倉に土地を入れたのが3年前。色々と巡って工務店を選ぶも、最後の段階で妻と工務店とのコミュニケーションがもつれて契約を解消。設計に費やした約1年が泡になって消えてしまった。
新たに工務店を選び直すも、地盤調査で軟弱性が判明。地盤補強をするために土地を掘り起こしたら、埋蔵文化財が出て立ち往生。そんな中で、ほど近いところで古民家をリノベした借家が出るとのことで申し込み。晴れてオーナーのお眼鏡にかなう借家人として鎌倉に移り住んで早半年がたった。
手に入れた土地は、試行錯誤を行った中で建設位置をずらせば軟弱性をクリアできるとの目処が立ち。果たしてようやく着工に漕ぎ着けることができたのだった。
コストは嵩んだが、堅牢な工法を採用する建設会社で、以前より安心した家づくりになりそう。さりとて、解約をした工務店は今頃どうなっているのだろうか…そんな思いを持って妻が調べたところ、1年前に破産宣告を受けていたことが判明。負債総額は8億円。売り上げは順調に伸びてはいたが、建設資材高騰と低利益率のために運転資金が捻出できなくなったからなのだとか…
デザイン性に富んだ家作りを手がける一方で、予算について施主の要望に応えることが売り。なのでコロナ伴うウッドショック、円安伴う資材高騰の環境変化に耐えられなかったのだろう。でもそこまで財務状況が悪いとは露とも思わなかった。
打ち合わせをしている際には、長い付き合いだった大工の棟梁が居なくなったのだ…とか、水が噴出して難儀する土地の建設を手掛けることになって大変なのだといった愚痴のようなものは聞いてはいたものの、そこまで深刻だとは。
それにしても建築契約を結んでいたら、どんなことになってしまったのだろう。恐らく着工途中で工事は中断してしまう可能性が高かったはず。仮に運良く完成してもアフターフォローはまったくしてもらえない。その時の損失は計り知れないものになったはず。
最後の最後で起きたトラブルは、天中殺のようなものと当時は思っていたけど、実は大きな不幸から僕たちを救ってくれた極めて幸運な出来事だったのです。今の家にも住めたし、出逢いもあったし、いい建設会社に家を建ててもらえた。これも運命のもたらす不思議さなのでしょうね…