クラスメートの田中敏恵さんのお招きで、AERA Style magazineが主催する講演会を拝聴しました。(11/24(金)にASMイベントを開催!人気連載「センスの因数分解」を因数分解します。:アエラスタイルマガジン)
彼女は『センスの因数分解』という連載を長らく持っているわけですが、そこで掲載された6つのテーマ(シックスセンスになぞらえて)について語るというもの。
①ホテルダイニングの新潮流
②NYのラグジュアリーホテルの新潮流
③シャンパンを支えるコルクの話
④坂本龍一さんが遺そうとしたもの
⑤ネイチャーアクアリウムを提唱した天野尚さん
⑥江口寿史さんの創作舞台裏
センスの因数分解とは、彼女が考える「素敵なもの」「よきもの」とともに、その理由を解説していくわけです。(今風にいえば『推し』なのかしら)
採り上げるものはジャンルが限定されないのも面白いところなのですが、『推し』の視点や意味づけの理由がなかなか興味深い訳なのです。これは上質のモノや考え方に長年接し、歴史や文化への造詣を深めてきたからこその審美眼であり、見立てであるといえます。
僕がなるほどなあと思ったのは、NYにおいては最近、黒づくめの身形をした富裕層が集うのが一流ホテルかと思いきや、カジュアルな格好をした若きニュービジネスのエグゼクティブが集まるホテルがあり、そこでは従来とは全く異なるコンセプトでサービスが提供されているというもの。
そこでは最高級のものをふんだんに提供するというのではなく、あるところではリサイクルやエコに徹底的に配慮したコンセプトでサービスを提供していたりする。そして何よりもナチュラルでカジュアルであるということ。
上質さ、心地よさ、豊かさの定義を分解し、再構築したところに新しい価値が生まれ、そこに共鳴する人により新たなモードが生まれるということなんだろうと思います。
国が悪い、マスコミが悪い…と大きな主語でものを語る中では、物事は決して改善しない。小さく分けて徹底的に突き詰めることで全体が見えることもあるし、解決できることも多い。それがセンスの因数分解に込めた思いなのだと。
ビジネスにおける問題解決を生業としている僕も因数分解、可視化、言語化、再定義は常々意識していることであり、専門領域は全然違いますが、一隅を照らすという問題解決を行う立場において符合するところも多いものだなと感じました。