Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

ロマンスの神様

夏はパラグライダー、冬はスキーをするために使っている長野県白馬の定宿。いつものように同期の友人とスキーをしようと約束をしていたのだけど、「俺いけなくなった、ゴメン」と直前の連絡。


板はスキー宅急便ですでに送ってしまってある。宿の予約もすませてある。仕方がない。独りで滑るスキーもいいだろう。僕は、愛車のビートに荷物を積んで白馬に向かった。カブリオレのビートだけど、僕はスキー場でもお構いなくこいつで向かっていた。チェーンを持って行けば、別にツーシーターオープンだろうと何だろうが関係ないのです。


深夜に白馬に到着し、数時間の仮眠をすませ朝起きてみるとすさまじい降雪。小さな僕の車はすっかり見えなくなっており、ちょっとしたかまくら状態。幌がつぶれてしまうのであわてて雪かき。「こんな車でよく来るなあ・・」なじみの顔に声をかけられる。


「独りだったら、僕らと滑らないか?」朝ご飯でいつもパラグライダーで一緒になるM社のパーティーに声をかけられた。「もちろんです。お願いします。独りじゃちょっと退屈しちゃいますしね」


僕は、7人パーティーのM社の人たちと滑ることにした。独りで滑ったとしても、それなりに楽しんでしまうのだけど、仲間がいるに越したことはない。


何本か滑った後だったろうか。僕は、YさんというM社のメンバーの一人の子と二人で滑ることになった。よく分からないのだけど、「彼女と二人でこっちのコースを滑ってあげて」とリーダー格の人に言われたのだった。


彼女とは、夏も冬もよく顔を合わせるのだけど、顔を合わせて話をしたことはなかった。もともと饒舌な人ではなくどちらかというと控えめな佇まい。涼しげな顔立ちの中に芯の強さを感じさせる強い瞳。二人でコースを滑り、ペアリフトに乗り午後の時間を夕刻までまるまると一緒に過ごした。そして僕らは宿に戻った。


だいたい、そういう状況におかれたのなら、もっと勘が働いても良いものなのだ。だけど、20代の僕は人の気持ちというものに全く鈍感だった。彼らをよく知る同僚に、何年後かして言われた。M社のYさんが貴方のことをいつも気にかけていたのよ・・と。


そうか、あれは奥手な彼女のために周りが気を利かせて、僕と二人だけになる時間を作ってくれたのか・・涼しい彼女の顔からは、僕はそんな気配はみじんも感じることができなかった。いや、ちょっとは分かっていたのだろうか・・仮に思いを汲むことができたとして、気の利いたことが僕はできたのだろうか・・


独りで行動することは苦じゃないなんていいつつ、自分みたいな人を好きになってくれる人なんて、この世にいるのかしら・・と真剣に悩んでいる自分もそこには確かにいたのです。全くもって救いがたいものです・・ばかばか。


ロマンスの神様」なんて歌だけの話。一方で、心を澄ませてみれば、案外そういう機会はあったりするものです。いまさらロマンスを拾っても仕方がないですけど。