「管理職になりたくない」そういう人が増えているそうです。責任が重く、残業代もつかない。気楽にできる非管理職のほうがいいからだそうです。
管理職とはマネジメントを担う人です。そして、マネジメントとは人を通じて事をなすもの。そもそも人に関心のない人は向いていない。キャリアアップの到達点として目指すべきものではないのだと思います。
長らく、マネジメントから離れていました。諸処の事情からプロの業務委託社員として働いている以上、それは仕方ありません。一方で、事業の未来を創り出す役割を突き進めていくと、スペシャリストという形での関わり方にはどうしても限界があることも感じていました。ビジョンと具現化のためのロードマップを描き、ヒト・モノ・カネの差配をする権限は、正社員でありかつ上級管理職でないと持ちようがありません。
ビジョンもなく、結果数値にだけ一喜一憂し、目算ももたず余った人を割り当ててくるマネジメント。いつも歯がゆく思っていました。
今の会社に入り、8年ぶりにマネジメントという立場に戻ってきました。そこで思うのは、自分は仲間とともに切磋琢磨しながら形を作っていくのが好きなんだ・・ということ。そして、メンバーがいたほうが、自分は力が発揮できるタイプなのだということ。
『お前は、守りより攻めだ。そして、人を扱うのがうまい。だから、マネージャーに推薦したんだ。反対の声もあったけどな。マネージャーは、独りでできる以上の成果を出すのが役割なんだから・・』
29歳2社目のときに、マネージャーにスキップ推薦してくれたパートナーからかけてもらった言葉です。
中途入社で専門性がない業界のシステム構築プロジェクト。シニアスタッフとして配属されたものの、パフォーマンスは全く発揮できない。困った上は変則的に、ベテランのシニアスタッフのメンバーとして動くフォーメーションを組みました。転機は、その人がメンタル不調で来なくなり、新卒メンバーと共に、リーダーとしてシステムを完成させていく立場になったことでした。
専門性はありません。書籍化されているものは片っ端から読み、経験者をつかまえては分からないことを毎日聞いていました。そして、メンバーとは日々プライベートも含め沢山の対話をしました。
様子が見えてくるようになり、自分が発揮できる得意技も見えだすとともに、メンバーにタスクを渡すという作業が、自身の思考の整理と学習に寄与していると感じるようになってきました。そして、様々な人から教えを請う立場は、分断されていた組織機能間の橋渡しとして貢献できる立場にあるということも分かってきたのです。
多くの対話を重ねたメンバーは、うちに自律的に目の醒めるような素晴らしい仕事をしてくれました。他のチームでは手を焼いていたメンバーも僕のもとではいい仕事をしてくれました。僕より専門性が高い人はいたのだと思います。ですが、パートナーはマネージャーに推してくれました。もう20年も前のことです。
あの時には、マネージャーとはキャリアパスとしての目標というくらいにしか考えていませんでした。今でははっきりと分かります。それは、延長上のものではないし、その役割に愛着をもてる人がやったほうがいい・・ということも。
とはいえ、自分を見つめると、マネージャーとしてはポンコツな部分多いからな・・もうちょっとしゃんとやんないと・・いつも多くの人に助けられています。本当にありがとうございます。