Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

職場の孤独

急速かつ複雑な技術進歩は、職務の高度な専門分化を必然的に生み出す。また、利益率を上げるため効率化を推し進めていくと、マネジメントに特化する人材は置けなくなってくる。

これによって起きる問題は、自分の仕事を理解する、見てくれている存在が、現場に皆無になってしまうことだ。上司は、部下の成長を考え、仕事ぶりをつぶさに見てフィードバックしようにも、自身もプレイングマネージャーであるから忙しく、また専門分化されているため、部下の仕事も十分に理解できない。

人間は社会的な生物だ。

マザーテレサは、「愛情の反対は、無関心」との名言を残したが、人間にとって一番堪えるのは無関心。無視(しかと)されること。だから、”しかと”というのは一番質の悪い心を蝕むいじめ。それでも、無視だけならまだいいかもしれない。ベストを尽くした仕事に対して、マイナスのフィードバックを心に余裕のないマネージャーから容赦なく受け続けたら、終いには心が折れる

メンタルが増えるのは、一人一人の人間のストレス耐性が弱くなったのでもなんでもない。世の中の進歩が、職場の孤独を生み出したから。

だから幾らストレスチェックを義務化しようが、管理職の教育に力を入れようが、問題の構造は何も変えることが出来ない。高度で便利な世の中が生み出したものは、時間も場所も関わらずに押し寄せるプレッシャーと集団の中の孤独。

一体、何のために必死に仕事をしているのか。無限地獄を生み出すためなんだとしたら、人間というのは、やっていることが矛盾だらけだ。

ストレスをぶつければ、同じストレスが形を変えて返ってくる。力学の基本法則、作用反作用の法則だ。せめて一人一人の人間ができることは、自分が受けたストレスをストレスにして相手に返さず、愛情を持った関心の輪に変えていくこと。これはなかなかに難しい。でも、それは相手のためだけではなく、自分のためにも必要なんだろう。