逃げるというと責任感がなく、人間としてやっちゃいけない事だって端っから思っている人が以外と多いように思います。でも、どうみても敵わない、体制を整えて出直した方が良いと言うときには、逃げるというのも積極的な選択肢だと考えた方が良いと思います。
僕が好きな『ジョジョの奇妙な冒険』では、主人公のジョジョはピンチに陥ったときにしばしばこう口にします。
「こいつはマジに欠点のない恐ろしい奴だ。だがな、ジョースター家には伝統的な戦いの発想法があってな。一つだけ残された戦法があったぞ。」「そいつは、逃げる!だ」
ここは、ドラゴンボールの悟空とは決定的に違うところです。でも、リアルな教えです。人生だって、事業だって連戦連勝なんて事は無理。出口戦略こそが大事だったりする。壊滅を免れられれば、何時かチャンスは来る。
追い込まれていると「逃げる」という選択肢が眼に入りません。僕の知っている人も、執拗なパワハラを受けていましたが、いつも自分を責めて、強い自分にならなきゃって言っていました。確かにそれも大切ですけどね。
でも、我慢や無理な戦いにも限度というものがあります。過労死をしてしまったり、メンタル疾患を患ってしまったら目も当てられない。弱音を吐いたり、逃げるというのは、ストレスコーピングにおいても大切な事だとされています。生きて幸せになることが究極の目的なのですから。
とはいえ、そういう理屈で考えるより、究極の戦法が「逃げることにあり」というくらいに頭に置いておいた方が良いのだと思います。日本人は、会津白虎隊や日本軍の特攻のように逃げることを潔しとせず、耐え忍ぶ、そして最期を遂げてしまうのを美化して捉えすぎです。
そうした意味で、自分らしく生き抜くために会社から逃げるという選択肢を忘れてしまった人を、「かます」と呼ぶのは言い得て妙だったりします。やっぱ、「かます」になっちゃいけないわな。