BCGの御立さんは、キャリアを形成する上においては、2つの大きな軸があるいう。一つは、スキルや知識を獲得することで向上する『生産性』であり、もう一つが自分自身が本当に大事にしている価値観に即した生き方をしているときに感じる『幸せ感』の軸。後者において、コンサルタントが感じる『幸せ感』には大きく3つあるとしている。
①閃く喜び。多くの人に解けない難題を解く知的快感
②自身が携わった仕事のインパクトが形になる喜び
③人を支援する喜び
この3つはどのコンサルタントにも共通する喜びだが、どの喜びを大きく感じるかは人それぞれ。御立さんの場合には、③なのだそうだ。
彼が自身の『幸せ感』の特徴に気を留めるようになったのは、文学部を出て航空会社に入り、MBAを取り、コンサルティングの世界に身を置く中で、『自分はなぜコンサルティングをしているのか?』という疑問が常に自分を纏っていたからだという。そして、事業会社のリーダーになるという転職オファーを断りづつけ、コンサルタントを続けている自分が何故いるのかという問い。
その中で、自分はコンサルタントで有り続けることでクライアントが喜ぶことに幸せを感じ、そのために知識やスキルを身につけてきたのだということがおぼろげながら見えてきたという。気づきの決定的なきっかけは、『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ)という一冊の著書との出会いだったという。
キャリアとは、旅に置き換えられる。本の主人公同様に、旅において探し求めていたものが、それまで自分が考えていたものと違うということに気がつく、という所にとても共感を覚えたのだという。そう、スキルや知識を得ることで、コンサルタントとして上を目指すというのではなく、求めていたものは自身の能力により幸せにできる相手の喜びだったというところになるのだろう。
御立さんとは比べるべくもないが、僕の幸せ感ポイントも③が一番大きい。一方で②はあまりない。30代の時は①だったけど、今では③が圧倒的。だから、事業会社で事業創造の現場にも携わったけど、売上成長など正直どうでもよかった。相手が喜ぶことに集中をしていたら結果は確かに付いてきたけど。
だから、役員候補ですとか、部長候補で年収幾らが将来約束されているんです・・・という言葉には、まるでそそられない。きっとそこには自分の幸せ感が無い、求めるものがそこにはない・・ということがうっすら分かっているからなんだろう。