Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

手塚治虫さんの裏方

12日間のバカンスが遙か彼方に行ってしまったような。日本に戻ってくると僕の長いキャリアでも経験のないマルチプロジェクトに忙殺される毎日な訳です。

 


こいつを乗り切れば一息つけるな…という目算は成立せず。時代劇の殺陣のようにとにかく目の前のタスクをやっつけ、なくなったと思ったら全く新しい巨大プロジェクトが浮上してくる…前より取り囲まれているんじゃない?という日々な訳です。

 


でもね、案件がなくて毎日自分の存在価値を問うて月を見上げながら家路についていた状況から見たら、有り難いことでもあるわけです。

 


とにかく独りで考え、スライドを書き起こして乗り切るしかないプロジェクトもありつつ、気の置けないメンバーと進めるプロジェクトも。時間は十分に取れないもどかしさを抱えながら、どれだけ元気づけられることか。やっぱり、僕は誰かと協働しながら働くことが合っているんだな…と思ったり。

 


そして、様々なクライアントからのテーマとパズルを解くプロセスを重ね合わせると、新たな発想や景色も見えてきたりもするわけです。

 


私生活でもなかなか手を抜くことが許されない環境の中、励みになるのは「かの偉大な」手塚治虫先生のエピソードを描いたブラックジャック創作秘話。

 


僕みたいな凡人とは比較にならない超人的なレベルの複数の漫画連載やアニメ制作を抱えていた手塚治虫さんの仕事ぶり。そんな手塚治虫さんもさすがに締め切りには間に合わない作品が続出する中で気をもむ裏方の苦労話が語られています。

 


だよなあ。でも、期待している人がいる中で、断れない手塚さんがいたんだよなあ。お金を稼ごうとかそんなんじゃなく。でも、スタッフや編集者に迷惑をかけちゃう。分かるな…スタッフや編集者の気持ちもね…

長い夏休みのない世界

学生時代も終わりとなる大学3年あたりともなると、長い夏休みがない社会人になるって、どんなことなんだろう…どんな世界なんだろう…耐えられるんだろうか…という想いが時折頭をよぎったものです。

 


長い休みがあるからって毎日楽しく充実感満載の大学生活なのか…っていえばお金もないし、決してそんなことでもないのですが、大学時代は学業も部活動も総じて楽しかったわけです。

 

 

 

給料が入り経済的な自由が手に入るとはいえ、どうやったら長い休みのない社会人生活を楽しく過ごせるか…こいつは僕にとっては大きな命題でした。

 

 

 

一応僕なりに真面目に考えたこともあり、社会人生活は退屈することもなく、学生時代よりいいわけです。戻りたいなんて微塵も思わない。

 


最近はかなり多くのクライアントワークでパツンパツンのスケジュール。本来的に僕はのんびり屋で怠け者なのにね…

 


今でも8月が終わる頃になると、そのときの感覚を想い出します。

記録より記憶

僕が今の会社に入りたてだった2年前、京都のある会社の子会社の人事制度に取り組んだ。組織人事のテーマは違えないものの、人事制度の構築は僕のキャリアとすれば8年ぶりだった。

 


情熱を持ち真摯に課題に取り組むクライアントキーマンと機敏に動いてくれる心強いメンバー。いつも想う…僕は出会う人の運だけはいい…

 


互いの知恵を出し合い、課題を解決する新制度は出来上がった。携わった人間のそれぞれが達成感を持って終えることができた幸運なプロジェクト。腹心のメンバーは翌年プロモートし、クライアントのキーマンもプロモートした。

 


そのクライアントからは、その後も何度か声をかけてもらったものの、具体的なお仕事には結びつかなかった。

 


今回は、本体制度の改革を急ピッチで進めたい。子会社の制度は親会社とほぼ同じ。起きている問題も解決の方向性も似ている。何より自分たちのことをよく知っているから…

 

 

 

『自分たちのことを、一番分かってくれているのが貴方だから…』仕事をしていて何より嬉しい言葉の一つであり嬉しい瞬間です。

 

 

 

このお客様の前にも異なる京都の老舗企業との打ち合わせでした。ここも一つ大きなテーマを片付け2カ月ぶりでしたが、奇しくも新たな課題の解決に向けて同じ言葉をかけてもらいました。(祇園祭りの時には残念ながら用がなかった)

 

 

 

売り上げのカサや案件獲得の成否なんて、極論どうだっていい。こういう気持ちで相手と繋がれる仕事をすることが僕にとっての価値であり意味…

 

 

 

打ち合わせを終え、プロジェクトをともにしたそれぞれのメンバー3人で京都の夜。記憶と繋がりの意味を噛み締めた一時でした。

リアルなアニメーション世界の価値

自分自身の「日常」の価値を再発見

そんな体験ゆえの感謝

 

 

ハリウッド映画では戦闘も恋愛も強者が勝利する。日本のアニメや漫画では主人公が戦う理由に悩み、恋愛でも気持ちをうまく伝えられない。内向的な人間は、声こそ大きくないが世界中に大勢いる。勝者総取りの米国文化について行けない人が繊細な日本のサブカルを支えてきた。

 


京アニが主として描いたものは異国での冒険、未来世界、宇宙、決闘、強いヒーローではない。どこでもある街、何気ない動作。音楽活動、スポーツなら指先の動きから床のすり減り方まで観察し、正確に描く。

 


小説同様、描くものに作者の思いや意味がこもる。ありふれた風景や普段の動作を緻密に描くとしたら、作り手がそこに価値を見いだしているからだ。見た人は自分自身の「日常」の価値を再発見する。平凡に思えた現実が輝き始める。現実逃避ではなく現実の肯定。そうした体験ゆえの感謝の言葉だとすれば腑に落ちる。

 


文化時評 日経新聞8/18

 

 


実に的を射た論評だと思った。京アニに限らず、ハリウッド映画には決して描かれない日常の何気ない世界の尊さと価値が日本のアニメーションの中にはある。

 

 

リアルなアニメーション描く世界は、リアルな現実の価値であり、尊さ。だから多くのファンができるし、聖地巡礼であり、世界から感謝の言葉が集まるような行動が起きるのだと思う。

 

はいからさんが通る

TVアニメの結末がどうなったのかが記憶をたどっても分からないわけです。放送は見ているようで見ていない。原作は読んでいません。明確に記憶に残っているのは、オープニングとエンディングソング。

 


大和和紀さん原作の『はいからさんが通る』のことです。

 


調べてみるとアニメは、話の途中で放送が打ち切りになっています。しかも放映時の裏番組は「宇宙戦艦ヤマト2」「新巨人の星」。記憶に残っていないはずです。後に南野陽子主演で映画化されていますが、これは見ていません。アニメの紅緒さんのイメージじゃ無いので見る気が起きませんし、これも話の最後まで描いていないようです。

 


そんな気になる物語…

 


先日、一昨年公開された『劇場版はいからさんが通る』を見ることでようやく知りうることになりました。

 


面白い。魅力的!忍さんは男前で格好いい。あまりにも理想的。青江冬星(編集長)も格好いい。紅緒さんの声を演じた早見沙織さんいい声です。

 


少女マンガですから、当たり前といえば当たり前なのですが、出てくる男たちが本当に惚れ惚れするほど格好がいいわけです。こりゃあ人気が出るわね…

 


僕はきちんと見た映画でしっかり最後の大団円まで見ることができたから、ある意味ラッキーなのかもしれません。当時、きちんとアニメを見ていたら突然の幕切れに消化不良感が相当に残ったでしょうから。

『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』予告編 - YouTube

執着心の証拠

コンサルティング業界は、かねてから学生の人気が高い。近年では採用が熾烈になっていることもあり、学生を集めたい企業においてはコンサルティングを標榜して人集めをしようとする企業も少なくない。

 


募集職種をXXコンサルタントとするだけではなく、会社名にコンサルティングと入れるところも。

 


コンサルティングと一言で言っても千差万別。システムインテグレーターであったり、アウトソーシングサービスであることも多い。

 


かつてアンダーセンコンサルティングという社名を改称したアクセンチュアは、今やピュアなコンサルティングビジネスが主体ではない。オペレーションアウトソーシングが主体であり、そこに従事している社員はおおよそコンサルタントとしてのスキルセットや経験を持ち合わせていない。

 


問題は、そこにいる人がその事実を捉えているかということ。顕在化した課題をストラクチャードな手順で解決するコンサルティングと特定のパッケージやソリューションに依拠しないコンサルティングは、スキルセットもマインドセットも全く異なるから。

 


昨日もそうしたいわゆる顕在化課題を定型的なアプローチで対応するコンサルティング会社にいる方との面談だった。

 


彼女は、RPA(ロボットによる業務自動化)を目的としたコンサルティングサービスに従事しているのだが、そこでいくつか携わった組織・人事系のテーマに興味があり、専門ファームに転職したいのだという。

 


興味があるのだったら、どんなテーマに関心があるのか?最近読んだ組織・人事系の書籍、論文について教えて欲しい…訊くとまともな答えが返ってこない。

 


興味って、そんな程度か…

 


そもそも、コンサルタントを志望しているのにバクバクに緊張しているのも気になってしまう。自己肯定感の低い人は、ネガティブフィードバックや難易度の高い課題にすぐに折れてしまうから。僕らの仕事ってそんなに周りにチヤホヤされる仕事じゃないからね。

 


どうして、大学院を卒業した後にコンサルティング会社に入ったの?と聞いてみると、自分の強みは問題解決能力であって、学生の時のアルバイトでそれを体現したのだという。

 


・100円ショップのアルバイトをいていたときに、売上が減少しているという事象があった

・原因を探るために店舗を観察していると、お店に人が入って買おうとしていてもレジに誰もいないために買わずに帰ってしまう事が多いということが分かった

・それでお店に2人を配置し、誰かがレジにいるようにしたところ、売り上げを上げることができた

 

 

 

もし、今同じ事象に向き合ったら、何をしますか?同じことはしますか?と聞いてみる。これに対しても答えに窮してしまう。彼女においての問題解決能力とは、目につく原因への対処だけなのだ。

 

 

 

組織・人事というテーマにも、問題解決プロフェッショナルとしてのコンサルティングにおいても執着心がない。残念ながらストラックアウトだ。一見立派なのは、大学院の経歴なのだがその前の大学を見ると、ただの学歴ロンダリングだと分かってしまう。とはいえ、大学なんてどこだっていい。

 


なんだかな…

 


人材エージェントってもうちょっとましなアドバイスやカウンセリングができないものなのかな。こんな甚だしい勘違いの状態のクライアントを、即戦力で自律性が高い候補者です…なんて直ぐに剥がれるメッキで転職活動に送り出すのは、双方で不幸だよ。

メルクマール

 


人生の一つのメルクマール。あくまで外形的、年齢的な観点ではありますが。

 


外形的なものですから、内面の変化があるかというとないわけです。体力なくなったなあとか、疲れやすくなったな…なんということもないですし、守りに入ったな、精神的に大人になったな…というとこれまた輪をかけてありません。

 


唯一の年相応とは、孔子謂わんとするところの『天命を知る』ことは何となくできたのではということ。ライフワークとなるテーマを40代を通じて関われたこともあり、またさらに究められる環境にも身をおけていると思っています。

 


メルクマールの手前に置いては、これまで遭遇したことのないフィジカルなアクシデントも経験しました。普段はアクセルワークしかしませんから、障害経験が一時的にもできたのは大きな財産になりそうです。

 


走る速さは人それぞれ。僕はそんなに速く走るタイプじゃありませんし、それを好みません。自分の心に従い、豊かな心でいることが周りを豊かにできる唯一の鍵。

 


いつも助けていただいたり、見守っていただいている皆様に感謝です。