Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

恨みは仕事で返さない

『ある意味いいタイミングだったのかもしれないよ。もし、3年後に同じことを言われていたら、随分と違ったはずだ。確かに、君なら次には困らないかもしれない。でも、さすがに50代にもなっていたら違うだろう。今の景気の良さだって3年もたてば変わっているはずだ・・』

3年前のちょうど今頃。僕は創業期から一緒にやっている方にRグループを卒業すること、その経緯を伝えた。僕より大先輩だけど、同志とでもいうべき大切な方だ。

『凄い企業の受注を立て続けに取ったよな・・そんな中でな・・今の事業の中核だものな。ある意味、納得いかないところも多いだろう。恨みの気持ちもあると思う。でも、その不の気持ちを抱いたまま、見返してやろうなんて感情で次に行ったら、ダメなんだぜ。俺はそれで失敗したのだから・・』

『俺も編集長の立場にいたときに、引退を勧告されたよ。確かに、少々飽きていたところもあったので潮時かもという気持ちも2割くらいはあった。でも、幕引きは自分で決めたいと思っていた。でも、それは許してもらえなかった』

『それで、さっきの気持ちを抱いていったけど、うまく行かなかった。子供だったんだろうなぁ・・それを吹っ切ってから自分らしく働けるようになった。俺がRを卒業したのも君と同じくらいの年だったよ』

3年たって同じことを言われたら、どうなのか? 考えさせられる視点だ。

確かに、立ち上げの3,4年は凄い苦しんだけど、成長もした。でも、自分なりに型ができると、大型の商談であっても、多数社のコンペであっても、かつてのような労苦も無く、結果を出すことが出来るようになった。人前で話すことも、ドキュメントを作ることも、短い時間で上手くできてしまう。同時に成長が止まり始めていることを自分でも薄々気づいていた。そのままで、3年後になっていたら僕の価値は、年齢も踏まえると間違いなく下がっている。

『君は、独立しても出来る人であるはずだ。俺は色々な人をRで見てきたからね。そういう中でも、君は秀逸だよ。君には、ぜひ本を書いてもらいたいと思っているんだよ。貴方の筆力だったらできるはずだと見込んでいるのだけど・・・少しづつ、書いていけばいいんだよ。持っているものは沢山あるのだから・・そうすれば、独立しても十分やっていけるはずだ』

Sさんには、会うたびにお前は本を書けよ・・って言われていた。

3年後の今。僕は仲間たちと本を書く機会に恵まれた。そのご縁を作ってくれたのはRのOBでともに働いた方。

Sさんは昨年帰らぬ人になってしまった。まだ元気だったら刊行された本を届けたかった。約束は守りましたよ…と。