Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

9月半島

傷つけ合う互いの関係に疲れピリオドを打った一人の女性。わだかまりの残る気持ちを抱えながら、青空を追いかけ海に向かって自転車のペダルを漕いでいきます。そこで見つけたのは、沖に遊ぶ鳥のように自由になった自分。


恋人といることがあるべき姿。お一人様というのは肩身が狭いという風潮が流れていた80年代。旅行、クリスマスシーズン・・バブル期の商業政策の中で、恋人同士で贅沢な時間に浸るすばらしさが殊更ながら強調されていた時代。


「Bewith」に歌われていた世界は、デニム、白シャツ、ソバージュにコンバースという出で立ちで、自分の意思や価値観をしっかりともったデビュー当時の今井美樹さんの姿にそのままオーバーラップします。


今において独りでいることは、何ら不自然なことではなくむしろ一つのスタイルとして認知され定着していますが、ともするとステレオタイプの窮屈な価値観に一石を投じたのが彼女のアルバムだったのではないかと思います。


果てしなき青さを海まで追いかけたくて
砂の残る素足で錆びたペダル漕いでゆく

光のモスリンが柔らかな風を編んで
流れ出す黒髪も
息を切らし走る輝いた翼になる


作詞家の岩本祐穂さんは多くの歌詞を彼女に提供していますが、9月半島のこの表現はあまりに素晴らしく、どうやったらこういう文章表現を思いつくのでしょうね。

 

youtu.be

 

イタリアンデザインチェア

在宅ワークで日々使うオフィスチェア。これまではニトリで比較的リーズナブルなタイプのものを使っていたのですが、いい椅子にしたいなあ…と。車もそうですが、高級車は椅子の座り心地が断然違う。姿勢がよくなるし疲れない。椅子はいいものに限るわけです。それを妻に話したところいい店があるので探しておくね…と。

 


神奈川に展開するリサイクルショップ「エキスパート」というのが戸塚にあり、いいのがあるかもとのこと。ここはオフィスやお店で払い下げをした状態のよい家具などが置いているのですが、そこで見つけたのがオカムラのフィノラという椅子。イタリアのジウジアーロデザインでスタイル、性能ともに申し分ないもの。新品だと実売で16万程度します。


置いてあったのは新品同様のオフィス払い下げ品。なぜか1.5万で売っているわけです。アーロンチェアのかなりへたったものが5万で売っているのに、オカムラの椅子はあまり価値がないと判断しての値付け。アーロンチェアと座り心地を比較しても遜色全然ありません。オークションで調べてもこんな安くないのにね。

 

リサイクルショップというのはバルクでモノを裁くので、こういう掘り出し物がある訳なんですよね。お陰で性能のいいオフィスチェアをお値打ちでゲットできました。

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鎌倉の銭湯事情

街の喧騒が好きかというとそうではなく、人恋しい気持ちを酒場で満たしたいかというとそうでもない。一方で人が集う空間で独りになることを好む人というのはそれなりにいるのだと思います。ホテルのラウンジやカフェ、図書館、裏路地を歩くというのもそれに入ります。町の銭湯に入るというのもその部類に入り、何はともあれ広い風呂が好きというのも相まって、時々訪れたくなるわけです。


目黒に住んでいるときには、武蔵小山温泉清水湯という抜群に素晴らしい銭湯がありました。新川においては、隅田川沿いに様々な銭湯があり辰巳湯、常磐湯によく通っていました。1000円もかからずに良い気分に浸れるなんて安いものです。


鎌倉は近くに銭湯がないのがいささか寂しいところ。材木座に清水湯という銭湯があるのですが、営業時間が21時までで仕事終わりに利用をするには、終了時刻が早すぎる。稲村ヶ崎にもスーパー銭湯がありますが、ここは遠すぎて帰る頃にはすっかり湯冷めしそう。

昨日、成東で研修があったので成田の温泉があるホテルに宿泊したのです。やっぱり久しぶりに大きいお風呂は良かったですね。


材木座の銭湯も雰囲気は良い感じなのでタイミング会うときに行きたいものです。

天災の恩恵

妻の実家が港区ということもあり、子供が生まれて以降は都心で職住接近生活を長らく送ってきたわけです。通勤は自転車で電車やバスにはほとんど乗らない。それはとても自由でストレスのないものだったと思うわけです。


あいつは言っていたね サラリーマンにはなりたかねえ
朝夕のラッシュアワー 酒浸りの中年たち
ちっぽけな金にしがみつき ぶらさがってるだけじゃNoNo
救われない これが俺たちの明日ならば
(尾崎豊 Bow)


学生時代によく聞いていた尾崎豊は、己を殺し小さな金のため体制に身をゆだね、酒でごまかす大人たちを歌の中で痛切に皮肉っていましたが、この世界観に大いに賛同する僕としてはラッシュの電車に乗り、空いた席に我先にと飛び込む大人なんてのは、今でも最高に格好が悪いと思っているわけです。


鎌倉に移住をし、リモートオンリーの生活であれば、それはそれでパラダイスなのですが、組織牽引の役割負うと会議やら面談やら・・クライアントとの対面の打ち合わせなどを否が応でも日中はぎゅうぎゅうと押し込められてしまう。そうすると、都内には早朝に出て行かなくてはならなくなります。日中は移動する時間すら確保できないからです。


救われるのは逗子が始発のことが多い横須賀線の車中は、さほど混んでいないということ。席も座れることも多い。なので1時間の東京までの移動は思ったよりも苦痛ではありません。一方で大船から東海道に乗り換えると少し早いですが、東海道線は結構混んでいますね。


最近便利だなと思うのが、駅ナカや駅そばにあるリモートワークのブース。途中の駅でリモートの打ち合わせが出来れば、移動時間を多少ずらせます。コロナでテレワークやシェアード型のサテライトオフィスがインフラとして発達したお陰。こういうのがなかったら、きっと鎌倉に住んだら早朝に家を出て、夜は10時くらいの帰宅という生活で、ウィークデイはほとんど家にいないという生活。


これは豊さの享受という観点での大いなる進歩であり、それはテクノロジーによるものではなく、明らかに天災によるものなのですよね。

娘が家を出る日

セクハラ支店長の横暴を上層部に告発し、異動を希望したものの取り合えってもらえず、古くさい体質の証券会社を娘が退職したのは5月のこと。

この一件で思ったのは、女性活躍だとか表向きはいいつつも、管理職の横暴について、何もできない人事部の弱さ。感情的にも何ら寄り添うことのできない女性役員の傀儡ぶり。単に女性というだけで心は女じゃない・・


オープンワークのスコアが低いのが当初から気になってはいたのですが、やはりこういう人材マネジメントをしているから、若手の離職も高くてセクハラに対する対応も毅然とできない訳なのですよね。こういう所で働くのは、人生における時間の無駄。風通しの悪い組織の中で娘が疲弊しているのは分かったので、異動にむけた支援はしつつも、それが叶わない中で退職することについて、僕は引き留めることはしませんでした。


疲れ切った心を元に戻すにはしばらく時間がかかるだろうと。一方でなかなか次の活動に向けたアクションに踏み出そうとしません。


どうすんのかなあ・・とヤキモキしつつ。秋口にアクションを取った中で彼女が内定を得たのは空港関連業務。FPまで取ったのに勿体ないなあ・・と思いつつ、彼女においてはそこに対する未練は全くないようです。


勤務先は羽田空港。早朝や深夜のシフトがあるため駅まで遠く時間がかかる今のロケーションは不安が残ります。寮に入ることもできるようですが抽選での選択。希望を出したところ抽選が通り、空港近くの真新しいマンションに入れることが決定。引っ越しの初日だけは親も中を見られるということで見てきたのですが、部屋も広くてセキュリティも万全。駅から近いし、5月にできたマンションはとても綺麗・・一人暮らしをするには申し分ありません。


勤務の開始は年明けから。娘が家から出ると、雰囲気変わるだろうなあ・・

アカシアのロールキャベツ

新宿エルタワーに出向く用事があったので、久しぶりにアカシアで昼食を食べようと足を運んだ。

 


人身事故で湘南新宿ラインの遅れもあり、昼食の時間が取れない懸念もあったけど、何とか新宿に辿り着き。幸いなことに一人だったので待ちもなくカウンターにすぐに通してもらいロールキャベツシチューを注文。すぐに出てきて期待通りに昔ながらの味だった。ただし、大学生の時に650円だった値段は1030円にまで上昇していた。

 


今や吉野家でもサイドを頼むと1000円を超えてしまうご時世。アカシアにおいても世の流れには抗えないですよね。

 


山手線で9時から12時のロケーションに位置する新宿、池袋は学生時代はどっぷりと浸ったものの、卒業と同時に縁遠くなってしまったエリア。新宿にいたパーソル時代も南新宿だったこともあり、歌舞伎町近辺は縁遠かったため余計に懐かしい。

 


神保町のキッチン南海、銀座の煉瓦亭、新宿のアカシア…昔ながらの美味しい洋食屋さんが好き。今度はしっかり時間のあるときに、コロッケやカレーも一緒に食べたい…

Connecting the Dots.

I社は難関大学の就職希望ランキングの上位を毎年占めている人気企業だ。だが、希望通りの就職が行えた若手社員たちがさぞかし毎日を楽しく働いているかというとそんなことはない。

 


キャリア研修を受講する彼らに聞いてみる。

『君たちは週末が終わり、月曜日が待ち遠しいか?』

 


誰も手が上がらない。お互いに顔を見合わせて苦笑い。『この会社を希望して入った人は?』

 


3/4くらいの手が上がる。難関をくぐり抜けてきた選りすぐりなのだ。じゃあ、なぜ待ち遠しい気持ちになれないのか、その理由と楽しく働いていくための機会としていきましょう…として研修を始めていく。

 


先の見えない彼らに、活躍する40代社員8人のキャリアチャートとインタビュー記事を読んでもらう。注目してもらうのは、彼らのキャリア曲線において20代は一様にマイナスに振れている点。若手においては、理想と現実の乖離が誰でもある。やるせない状況を打開する力も経験もない。

 


『柔道を習ったことがある人はいますか?』

ぱらぱらと手が上がる。

 


『最初は何を習いましたか?』

 


『受身しか習わなかったよね。今は投げられるばかりで、投げ技なんてかけることができない。ただし、受身をマスターすれば、攻撃に繋げていくことができる。仕事における受け身の型が"ジョブクラフティング"だ。受け身から攻撃に転換していくときに、先輩社員が発揮していた力が"ジョブクラフティング"なんだよね』

 


『理想のキャリアなんて描けなくていい。過去を振り返ってジョブズが言っていた「Connenting the Dots」に向けとにかく点を打っていけばいい。多ければ多いほど可能性が拡がる。それを信じて進んでいくんだ。先輩たちだって、振り返って思いもよらぬ経験が役に立ったと言っているじゃあないか…

 


ジョブズのConnecting the Dotsは僕が好きな哲学だ。ジョブズがスタンフォード大学で語った3つの考え方は、キャリアの実学そのもの。

 


20回の研修の受け止めはとても良かった。Connecting the Dots.が刺さったとコメントに書いてくれた人も多かった。ジョブクラフティングという考え方は、気をつけてインストールしないと、組織側の都合のよい操作主義思想だと捉えられる。

 


悩みなんて一見なさそうな日向を歩いている人たちにも、苦悩の時期がありそこから抜け出すためにとった行動だというだけ。そのことは、教えるのではなく感じ取ってくれればいい。

 

でも僕が思うのは、いい大学に入り、評価の高い会社に入ることが幸せの方程式ではないのだということ。必要なのは相対性の世界に流されない自分の軸と哲学。このことを理解している人はとても少ないということなんだよね。

 

僕は大学以降は、月曜日が憂鬱だなんて思ったことがないもの。