Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

実績という墓標

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同じ仕事を同じ職位で5年以上も続けると、やっぱりマンネリ化は避けられない。

 


現場では"頼りにされている感"も得られるが、経験への慢心が過ぎると「その方法は以前試したがダメだった」と若手の新しい挑戦を封じる壁になってしまうこともある。本人は良かれと思っているが、壁は壁。同じような打ち手であっても、時代背景も違えばやり方も違うのに、自分の失敗体験を押し付けるのはやはり無理がある。

 


自分のキャリアのためにも組織のためにも、次の仕事にチャレンジすべき「潮時」というものはあると思います。(ルーセントドア 黒田さんのコラム)

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これは本当にそうだと思います。リクルートでの事業創造も5年を過ぎて事業が軌道に乗るとだんだん仕事がパターン化してきました。同時に実績を圧倒的に築いたため未熟なメンバーの壁になったとも思います。

 

 

 

パーソルでのミドル・シニア事業もある意味では、リクルートでの経験の焼き直しの側面があり、自分のキャリアの側面で見たらいい加減に潮時だったのだと思うのです。

 

 

 

実績とは過去の墓標の積み上がりであり、高く積み上がれば上がるほど降りることが難しくなる。

 


こういうときは、自ら機会を創り出し、機会の中で自らを変えよ…というリクルートの人生訓に沿って生きていくのがいいのでしょうね。実績を捨てて自らを変える過程というのは、心地よさとは雲泥の不安さと痛みを伴う道程ではありますが。

不機嫌さのマネジメント

自分の意に沿わない状況が出ると、あからさまに不満の表情や言葉を提示する人がいます。マネジメントの立場であれば、動機付けをしたり、状況の改善を図るべく動きをとろうとするもの。

 


一方で、そういう態度をとる人は常にそういう人だったりします。そして、よかれと思ってとったアクションのために、こちらが却って損な立ち回りになってしまうことさえある。

 

 

 

普段から機嫌悪くふるまう人は、相手にデモンストレーションをすることで、「相手は自分の思い通りに動いてくれる」と無意識に考えているところがあります。

 

 

 

それは、ある意味で相手を操作していることであり、人の優しさや良心を搾取する行為ともいえます。有り体に言えば、『わがまま』な人なのです。

 

 

 

本来、モチベーションが上がらないという不の感情は、あくまで「本人の問題」だったりします。同じ状況においても、捉え方次第で意味は変わるものですし、変えるためのアクションは本人次第。よって、相手に不満をぶちまけたり、拙速な解決を求めてはいけない。何か思うところがあるのなら、問題解決の視点に立って冷静に伝えればいいだけ。そして自分の感情は、いつも自分でコントロールすればいいのです。

 


これまで不満をあからさまに表明する人に会うたび、自分の責任ではないか…と対応することがありました。ですが、「人の機嫌」に左右されて対応することの無意味さも何度も痛感しました。

 


そもそも、プロフェッショナルワークにおいては上司たるものは自分自身であり、自分の感情や問題解決を図れない人は務まらないのですから。

ジョブ型雇用のパスポート

自分のことを理解し信頼してくれる人でないと人脈とはいえない。その上で自分自身に異なる角度から新たな期待や要望を投げかけてくれる人は、新しい自分を見出す機会をもたらしてくれる貴重な存在。

 

 

 

リンダ・グラットンが『変身資産』と呼んでいるものは、上記のそのものだったりする。

 

 

 

だが、会社で同質性の高い人間関係に日頃ロックインされている人は、なかなか多様なネットワークを手にすることが難しい。それは、選択肢のないキャリアを歩まざるを得ないことを意味する。

 

 

 

ソーシャルネットワーキングの発達に伴い多様なネットワークを誰でも持ちうる事が可能になってきた。その一つがLinkedin。

 

 

 

日本では鳴かず飛ばずだったLinkedinもこのところだいぶ存在感が出てきた。きちんとキャリアを登録しておけば、自分のキャリアに関心を寄せる第三者と容易に繋がりを創ることができる。中には魅力的なオファーを提示する人も出てくる。

 


職務経歴を登録しているのだから、自分のことをある程度理解した上でコンタクトするが故にそれも自然なこと。

 


こうしたダイレクトリクルーティングの手段が発達してくると、採用広告メディアの位置づけは下がってくるし、腕の悪いエージェントも存在価値がなくなってくると思う。

 


企業においては、いくら個人を抱え込もうとしてもこういうツールが発達すれば、優秀な人材の抱え込みは困難になる。

 


これまで立場の弱かった個人もこうしたメディアを手にして駆使することで、自分にとって魅力ある組織を転職活動ということを敢えて意識せずして選ぶことが可能になる。ある意味でジョブ型雇用におけるパスポートなのだ。

 


こうしたインフラのおかげで日本もようやく組織と個人が対等な立場になれてくると思う。

インサイドアウト

リクルートGoogleサイバーエージェント 成長し続けているニューエコノミー企業の特徴は、採用を中心とした人材マネジメントに強さの源泉があるということ。

 


伸び悩んでいる企業は、人材マネジメントについてトップの関心も低く、一貫した考え方や全体の整合性を欠いている場合がほとんどです。それは、人材に関するサービスを提供している企業においても例外ではなかったりします。

 


いい人材を採用できない、優れた人材から離職をする、やる気・能力が低い人材がぶら下がっているという状況を呈している時点で大きく成長する予感が見いだせない。

 


そうした企業は、大手という看板があればいい人材が採用でき、インセンティブをぶら下げれば彼らが貢献する、そして役目が終わったらひとりでに人がいなくなるものだという勘違いをしています。

 


その結果が、先進ヵ国中最下位レベルのエンゲージメントであり、米国比60%の労働生産性という状況を生み出しているわけで。それを改善しようとしているサービス企業も蓋を開ければ同じのお粗末さ。

 


この状況を変えるには、自分たちの組織そのものがエンゲージメントも高く、エッジの立った異才を許容できる懐の深い組織でいたいもの。社内政治や足の引っ張り合いが跋扈するのは、弱い個が集まり、恐怖心を持って仕事をさせるから生じる。

 

 

 

紺屋の白袴にならないようにすることがいかに難しいことかはよく分かっています。でもインサイドアウトを目指していきたいものです。

曖昧さを受容する特性

曖昧さに対する耐性は4つの因子に分けて定義することができる。

 


楽観 vs 慎重

変化志向 vs 秩序志向

多様性志向 vs 一様性志向

未知志向 vs 既知志向

 


僕はすべてが前者の特徴だから、曖昧さに対する耐性は高い。特に職務が新規事業開発などの不確実性が高いものであれば特にだ。

 


相性の極めて悪い相手は、曖昧さの耐性に関する4要素の全てが右に触れている人。メンバーレベルであればいいが、権限を持って上司がこのタイプだと最悪である。

 


コンサルティング業界においては上記のタイプはあまりいないのだが、ごく希にいるのである。このタイプの問題は権限を持つと曖昧さの耐性が低い故に、仕組みやルールでマイクロマネジメントをしてくるところにある。

 


こういう人は、未知の課題を扱い多様な顧客とメンバー統率するには不適切だから、採用や配置の時点ではじくのが定石。だが、学歴や職歴が一見いいとハロー効果でいい評価をしてしまう。

 


果たしてそうした人間がトップについた組織はコンディションが急速に悪くなる。ストレス耐性の低い人間は、『性悪説』を前提に『正論』で人を縛り管理しようとするからだ。

 


そもそも、このタイプの人はオペレーション業務とかコンプラのリーダーあたりが適任であり、戦略企画や上流コンサルティングのリーダーには相性が良くない。きっと、それは本人が一番分かっているだろう。

LUMINOXとトリチウム

カジュアルタイムに身につけている時計は、いくつかバリエーションを増やしてみたりしたもののLUMINOX

を15年ほど愛用しているわけです。ミリタリーベースですので、堅牢さとミニマルなデザインは飽きがこない。あくまで個人的ですが。

 


・視認性の高さ(暗視時も含め)

・頑丈さ(200防水)

・付け心地(グラスファイバーのケースで軽い)

・コンパクトさ

 


昔はケースの大きいごってり重たい時計も持っていたのですが、重たい時計はとにかく鬱陶しく感じるようになり、すべて売り払ってしまいました。そして、スーツに合わせた黒革の時計はスーツを着る機会がないので全くつけなくなってしまいました。

 


革靴の存在と全く同じですね。

 


軽くて丈夫でコンパクトならいつでも一緒でいい。靴も携帯も時計も自転車も…

 


LUMINOXの売りは夜間自動発光する特殊蛍光の文字盤が採用されていること。トリチウムガスが充填されているカプセルがそれを可能にしているわけですが、トリチウムとは福島原子力発電所の海洋廃棄で議論となった放射性物質です。

 


半減期は約12年。ですのでLUMINOXもだいたい20年あまりは光り続けます。もちろん、人体に影響の出る放射線は出ていません。薄ければ比較的人体毒性の低い放射性物質といえるのだと思います。

 


ですから、薄めて海洋に出すのであれば大きな問題はないのだと僕は思っています。

 


自動発光にトリチウムが使われる以前は、ラジウムが使われていました。キュリー夫人によって発見されたこの物質は極めて人体毒性が高い。キュリー夫人放射線障害によって白血病、腫瘍といった病変を生じて世を去っています。米国でラジウム塗布の時計作りに参画していた若い女工さんがことごとく放射線障害で若い命を散らしています。

 


ラジウムの代替品として登場したトリチウムは遥かに安全性が高い。とはいえ、放射線を発するリスクは厳然してあるわけで、第三の発光塗料はルミノバでロレックスなどに採用されています。

 


規制の極めて厳しいフランスなどでトリチウムを搭載している時計は販売禁止だそうですから、とにかく放射線はだめという考え方もあるのだと思います。

 


とはいえ、自然界はあらゆる放射線にさらされているのも事実であり、ラドン温泉などの低レベルの放射線は体に良いとの研究結果も出ています。ですので、放射線物質イコール悪だという単純な解釈はしなくてもいいと思います。

 


ちなみに僕は原発はない方がいいと思っていますけど。

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渡良瀬川の風

小学生の夏休み。母の実家のある栃木県藤岡市に行くのが楽しみだった。

 

祖母は旧い長屋の質素な家に住んでいた。土間があって、お風呂は離れに据えられた檜の樽風呂、夜は古い桐箪笥のある二階の部屋に大きな蚊帳を吊って眠りについた。

 

カブトムシがいるような田舎ではないけれど、夕方の渡良瀬川を渡る風はいつも心地よかった。盆には送り火とナスやキュウリで作った精霊馬を各々の家で行う風習が東京育ちの僕には新鮮だった。

 

夏には恒例だった花火大会が中止となって20年。街は過疎化が進み、往来を歩く人影も旧道沿いの商店もほとんどなくなってしまった。

 

老いた母と渡良瀬川を眺める時間もこれからどのくらい持てるだろう。

 

新開橋の近くに昨年8月にできたというお洒落で味のいい喫茶店。メランコリックな気持ちに少し光が射した。

 

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