特別展がもう一度見たかったこと、庭園のバラも盛りであろうと3週間ぶりに鎌倉文学館を再訪しました。前回は両松葉杖でしたから、江ノ電の最寄り駅から文学館への道程は非常に骨の折れるものでした。今回は両足が使えるようになったので、前回と打って変わって楽な気分。バラは、少し早いかと思いましたがまあ見事に咲いています。
前回、特別展「豊饒の海のススメ」を観たことを機に、三島由紀夫「豊饒の海」を全巻買い揃え読み進めています。今は「春の海」が読み終わり「奔馬」。
「春の海」の舞台は、主人公の松枝清顕が在学する学習院、自宅の設定となっている代官山 西郷邸、別荘の州南別業(旧前田邸 鎌倉文学館)と馴染みのある場所で展開されるものであり、当時の様子に思いはせながら読むことができます。惜しむらくは、学習院在学中に「豊饒の海」を読まなかったこと。当時読んでいたら何を想ったことでしょう。宮家に結婚が決まり主人公の手の届かない存在となった綾倉聡子と許嫁がいた当時の恋人を重ねていたかもしれません。
今回の訪問では、心理的な余裕もあり特別展用に刊行されたパンフレットも購入。これは、永久保存版じゃないかな。
文学館を見終わった後は、近くにある「雨ニモ負ケズ」というカフェに。ガイドなどには一切載せないというマスターのポリシーのせいか、お客さんは誰もおらずゆったりとした空間。なんでも、裏手には芥川賞作家、正面には直木賞作家、そして少し隔てたところにはノーベル賞作家の川端康成・・と文豪ゆかりのロケーション。確かに、ここは思索を巡らすにはいい時間が流れています。
最後は、長谷寺に赴きました。まだ、装具をつけて片松葉だから階段は無理なんじゃないの・・とカミさんに言われつつも、疲弊もなく最上部に。ここからは綺麗な眺望を拝むことができました。6週間の不自由な生活とのコントラスト。新緑の眩しい光の中、久しぶりに肉体的に解放された自分を実感する一時でした。