Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

交換の彼方にある世界

社会の構成体には、性格の異なる交換様式を持つ4つのタイプがある。4つの世界というのは、1.ネーション 2.国家 3.資本 4.理想世界

 


「1.ネーション」は、贈与と返礼の交換様式で繋がっている社会。家族やムラ。広いところになると民族。「2.国家」とは、略取(徴税)と再配分の交換様式で繋がっている社会。支配の代わりに保護を行う存在。「3.資本」は、貨幣と商品の交換様式を持つ社会構成体。市場経済といってもいい。「4.理想世界(X) 」これは提唱者の社会科学者は上手く概念化していない。これは、共産主義やキリスト世界的な解釈を加えると理解しやすい。

 


日本は、戦後期に天皇制の崩壊とともに「1.ネーション」が徹底的に否定されてしまい。家族も民族という概念も曖昧で希薄なものになってしまった。一方で、戦後は著しい経済成長を果たしてきたから、「2.国家」「3.資本」の世界だけで上手くいっていた。

 


成長が鈍化し、税収も減少している現在の局面では、国家の再配分機能も市場経済も行き詰まりを見せている。こうした状況になると、喪われてしまった「1.ネーション」を復権させるような動きが台頭してくる。安倍、石原、橋下・・・彼らは愛国心(ネーション)を掲げて国民の支持を集めている。

 


教育という側面においては、これまではあまりにも 「3.資本」の世界の論理が入り込みすぎていた。この世界の価値観は能力価値や効率性。自分がした労働価値に対する報酬の世界。即物的で、相対的。

 


人を活かす教育においては、「1.ネーション」「4.理想主義」の側面が欠かせない。この世界はロジックではなく感性であり。存在価値。

 


大人になってから自信を持って優れた仕事を成し遂げる人の特徴は、子供の時に育まれた自尊感情(ベーシックトラスト)。God makes each human special 神は一人一人の人間を特別なものとして創り給うた・・・この考え方が今のような時代こそとても大事になる。

 


宗教的な考え方が無くても、先祖から脈々と続いてきた末裔として自分は今立っている。子孫の繁栄を願って辛い時代も生きて生きたご先祖様のことを思えば、自分に自信も持てる。これが「1.ネーション」の世界。

 


学校におけるいじめや自殺の問題、職場における鬱の問題は、「3.資本」の視点で教育や人間関係を捉えすぎたことの弊害。一人一人の人間の可能性を拓き、世の中をより良いものにしていくには、家族の繋がり、民族であることのアイデンティティ、見えないものに生かされている特別な存在であるということに、もっと目を向けていった方がいいのかもしれない。