Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

美沙の憂鬱 2

どこか心の奥では自分の力を信じている。姿見に写る自分だって魅力が無いわけじゃない。街に出て、自分を晒せば、振り向いてくれる異性だってきっといるだろう。


大学への進学や地元に残る友人達が多い中、美沙は東京で就職する道を選んだ。家計に不安が残る親の姿を見るに、敏感な美沙の心はズキズキと痛んだ。親に心配を掛けず、自分の力で早く生きていこう。そう思ったのだった。進路先は、親にも友人にも相談せず独りで決めた。美沙は、多くの女子生徒のように、群れに身を置いて調和するタイプではなかった。

 


絶対的な自信があるわけじゃない。でも、独りで生きていく強さも、負けず嫌いな性格も芯にはある。だから、自分を安売りはしたくない。上辺だけを見て言い寄る相手なんて、欲しくない。

 


そんな彼女が心に決めたのが彼だった。彼は、他の男と違ってギラついた目で美沙を見てこなかった。不器用だけど誠実で、本当の自分を見てくれる人。そう信じていた…