我々人類が他の霊長類と違うのは、道具を作るということだ。ある人が様々な動物を比較して、移動に要するエネルギー効率を比較した。一位はコンドルで、ヒトはリストの上から1/3くらい。万物の霊長として恥ずかしい限りだ。だがサイエンティフィック・アメリカンに面白い論文が載っていて、ヒトが自転車に乗ると、その移動のエネルギー効率はコンドルをぶっちぎりで抜いて地上の高等生物の一位だと言うんだ。そこで思ったのは、私にとってコンピュータというのは、人の知性にとっての自転車みたいなもんだと言う事だ。自転車のように、人間自身が持つ知性の行動範囲を広げるんだ
Steve Jobs, “Computers are like a bicycle for our minds.” – Michael Lawrence Films
スティーブ・ジョブズは、コンピューターの事を「Bicycle for the mind」と呼んでいた。人間の移動効率性は、0.75cal/g/㎞であるが、自転車を使用すると0.15と5倍も効率が上がる。この効率性は、自動車0.8、飛行機0.6よりダントツに優れた数値である。
コンピューターは、同じように人間の知的生産性を自転車のように拡張させる道具。ジョブズは、マッキントッシュのプロジェクト名称に「Bicycle」という名称を付けようとしたほどだ。(周囲の反対にあい、結局マッキントッシュに落ち着く)
僕も乗り物で言えば、昔から自転車が一番好きだ。空力特性に優れ軽量化が施されたロードバイクなんて、翼そのもの。昔、Thinkpadを「大人の翼」というキャッチフレーズで売り出していたことがあった。秀逸なコピーだった。確かに、PCと自転車は僕にとっての翼。それは感覚的なものではなく科学的にも証明されている。しかしながら、ジョブズは目の付け所が素晴らしい。