リベラル・アーツは、人を自由にする学問という意味がある。そして、現代においても人を自由にするという意味において普遍性がある。
リベラルアーツは3学(文法学、修辞学、論理学)、4科(算術・幾何・天文学・音楽)で構成されている。この理念は古代ローマ時代に源流を発して中世に確立したものだから、GPSや精度が高い地図が手に入る現代における天文学の位置づけは、正直微妙なところ。それに代わるのはオフィスアプリケーションなどを使いこなせるITリテラシーというところにでもなるのだろうか。でも3学と残りの3科は現代でも不動だと思う。
コンサルファームで一貫して問われたのは、平易かつインパクトをもって人に伝える文章を書く文法学であり、相手に印象を残し納得感を持たせるプレゼンテーションスキル(修辞学)、そしてロジカルシンキング(論理学)。一方で、事業会社に身を置いて思う事は、こうした基礎的な素養が磨かれていない人がとても多いという事。まあ、だからコンサルファームが儲かるという事でもあるのだが。
テーマにしている中高年ホワイトカラー社員の流動化。この流動化を可能にするポータブルスキルをとってみても、リベラルアーツの3学は内包されている。
結局、いくら時代が変わっても人間そのものが変わっていない以上は、人間を自由にさせる要素はローマや中世の頃と変わらない。それにしてもリベラルアーツと称したローマ人は本当に慧眼だ。