Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

タレマネシステムの闇

先日とある会社に訪問したところ、過去にタレントマネジメントシステムを多額の費用をかけて導入したのだけど、全く使いこなせていないので利用を中止した、提供するベンダーもシステムから撤退するとのことで困っているんですよね・・という話を受けた。


この手の話は良く有るし、思い当たる節もあったので聞いてみると、とある会社が提供するシステムを導入していたとのこと。さっさと、撤退していれば多くのクライアントに迷惑をかけずに済んだものを・・罪深いなとしみじみ思う。


そのシステムは、

①自社の人材管理システムとして内製で開発したものを外部に販売していたもの
②現場感にもとづいた機能と導入実績があったこと。またそれが人材サービス会社であったことからユーザーにはそれなりの期待を抱かせる代物であった
③タレントマネジメントが脚光を受けた7-8年前には、大手企業にそれなりの導入実績を収めることができたが、導入費用の高さから販売は伸び悩むようになった
④このため、追加、拡張開発の投資ができず、後発のSAAS型のシステムと比べて、機能、コスト両面で見劣りがするようになった
⑤梃子入れにやっきになった経営陣は、営業パーソンやプリセールスの人材を大量に採用し、セールスを強化したものの思うような効果は出せず
⑥機能面の劣勢を挽回しようとバージョンアップに取り組んだものの、開発費用が想定より大きくかさみ、多額の特損を計上
⑦起死回生を図ろうと、会社を挙げてセールス強化に取り組むも、結局鳴かず飛ばず。そもそもセールスをしている営業パーソン自体が、この仕組みは駄目だと言っている始末
⑧売ったら売りっぱなしで、カスタマーサクセスについては全くのほったらかしで、成功事例というものはほとんどなし

 

まあ、さっさと止めていれば良かったのですが、システムというのは売れたら売れたで金額のガサが大きいので売上拡大の野心的な計画を支える根拠としては格好だし、バージョンアップ開発や人件費で多額の投資を行っていたことから、回収をしないと格好が付かなかったからなのでしょう。


そもそも、タレントマネジメントシステムというのは、目的に基づいてデータ環境を整備しない限りは、システム機能を使いこなすことは不可能であり、導入後の業務要件定義、データ要件定義をしっかり行える力をユーザーが持っていないと駄目なわけです。


一方で、人事部の人たちはITやデータリテラシーといったものが低い。エクセルでピボット分析を行いエンゲージメントサーベイのクロス集計すらも行えないようなレベルであり、タレントマネジメントシステムなんて猫に小判なわけです。そうした状況に輪をかけて問題なのは、売りっぱなしでフォローアップする気も能力もないベンダーの体制。これは、この会社に限った話ではないです。SAAS型のベンダーは、入れたら月額課金料が入るので、コストをかけてフォローを行う動機がまったくないのです。


そしてそれっぽいデモを見せることはできても、ユーザーの目的達成に向けて伴走支援を行う力をもっている人材はほとんどいなかったりするのです。


これは料理を作ることができない、必要な材料を買い揃え、包丁で仕込みをすることができない人間に、高級な調理器具を売りつけるような行為に他なりません。それって、年寄り相手に実演販売をして、その気にさせて無駄なものを買わせる手法と同じで、罪深いよね・・と思ってしまうのです。