大学に入ったら、受験勉強で読めなかった小説を図書館でいろいろ読もうと予てから思っていましたから、大学図書館には週2回くらいは通っていました。そこでせっせと本を借りては、通学の電車の中で読んでいました。
小説を読んだり試験勉強をするという目的もありましたが、前川國男さんが設計した図書館の雰囲気と趣のある椅子や机が好きだったこともあると思います。最近の潮流は旧い校舎をつぶして高層建築に建て替えることが多い中で、リニューアルして遺してくれるのはとても評価できます。
独りで小説を読むのが好きな人というのは、孤独な人か自問自答を好む人だったりすることが多いものですが、基本的に僕もそういう類いの人間なのでしょうね。何かと人とつるんで飲みに行くということを当時から好まない人でもありますし。
最近、電車の中で文庫本を読む人というのはスマホ全盛の中でほぼいなくなったような気がします。そういう中で小説を読んでいる若い女性を見るとセクシーだなと思うのです。先日も横須賀線でそんな人を見掛けました。
本を読む姿というのは陰であり、陰と明るさが共存する人に共感を覚えるからなのでしょう。
昔のオーディオは、デシベルを示すのにアナログメーターが使われてました。うちにデジタルのバーコードや数値に置き換わっていくのですが、時計と同じくアナログメーターの動きって基本的にセクシーですよね。針の場合は、動と静が視覚的に把握できるわけで、これは陰と陽と言ってもいい。
魅力的な建築も光と影をうまく空間に取り込んでいるものであり、前川國男さんの図書館もそういう空間だったのだと思います。