Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

SEIKOの真価

機械式時計を使うようになったら、他の時計は使わないようになるだろう・・と兼ねてから思っていたわけですが、実際に使い出すようになるとやはりその通り。果たして使用頻度がまるでなくなってしまったクオーツ時計たちをヤフオク、メルカリで売却しました。

コロナで外出の自粛をしていた時も断捨離したのですが、徐々に増えてしまっていたのですよね。


機械式は当たり前ですが、身につけていないとゼンマイが巻き上がりませんし、精度が安定するという特徴があります。巻き上げるだけならワインダーで代替できるのですが、温度が精度に影響するため外していると少し遅れ気味になります。毎日付けていると日差もなく、高い精度が保たれるので他の時計を付けられなくなるのです。


SWATCHは安価なクオーツ時計で、その日の気分やファッションによって複数をつかい回すというコンセプトなわけですが、機械式というのはその真逆だったりします。そういう時計を複数所有しようというのは、もはや完全にコレクターとしての趣味の世界ですね。


機械式時計には、その正確性の高さを示すものとして『クロノメーター』というスイスの標準機関が認定した基準があります。高級時計の代名詞でもあるわけですが、SEIKOはクロノメーター基準を取得した時計はなかったりします。そんなものをお金をかけて取得してブランド化する意味はなく、自分たちで厳しい基準を作ってクリアしていれば良い・・という考えです。グランドセイコーはクロノメーターより厳しい基準で精度を保証しています。


僕が持っているのはプロスペックスなので、そこまで高い精度を売りにした時計ではないのですが、実質的な精度はほぼクロノメーター基準をクリアしています。ちなみにクロノメーター基準というのは、5つの姿勢差、3つの温度差をもって15日間の試験の中で日差-4秒~+6秒というもので、通過率は3%以内というものです。そもそも試験に出すだけでも多額の費用がかかりますから、高級時計でないと認定をとるメリットがありません。この辺のことを知らない人は、SEIKOはクロノメーターを取得していないのでクオリティが低いとかいうのです。


諏訪を東洋のスイスにしようと発展してきたSEIKOは、1960年代にジュネーブのクロノメーターコンテストの上位を独占しています。クオーツが出る前のことです。その時計を作ったのは、手のひらに汗のかかない女工さんだった・・というのは内橋克人さんの『匠の時代』に綴られた逸話。スキーのジャンプ競技をみていてもそうなのですが、欧州は自分たちの地位を確保する手段として『ルール、基準』というものを設けているわけで、そこに乗っかるのは愚かなのですよね。


僕がSEIKOが贔屓なのは高校時代に愛読した『匠の時代』のストーリーが残っているからかもしれません。最近は大谷翔平さんが素晴らしいアンバサダーの役割をかっていますがね。