正確に時を刻むものがあるとするならば
心安らぐ君のリズムはかみ合いはしない
街のどこかで誰かのクラクションが泣いている
間違いが君の世界を孤独にしても
ほらごらん全ては君のものなんだ
(尾崎豊 誰かのクラクション)
多忙な実務の傍ら執筆した原稿料が入ったことを機に、メカニカルウォッチを手にした。選んだのはSEIKO大谷モデル。円安で欧州の時計が2倍近くになっているなか、日本製は品質も価格も抑えられている。そしてSEIKOは日本が世界に誇る時計だ。
手間要らずで正確なクオーツ時計を愛用していた人間にとって、初めての機械式時計はどう写ったか。
日差+-15秒のスペックですが、日差+5秒程度。当たりの個体だったかもしれませんが、想像以上に正確。ワインディングも早いので、まめに巻き上げなくても大丈夫そう。
刻む時は、優しさと優雅さがあります。針の動きは、砂時計の砂がさらさらと落ちてゆくよう。巻き上げなくては止まってしまう時計は、ものごとの有限性を教えてくれます。
東京にいたときは、電車も正確でどこか余裕のない生き方をしていたかもしれない。有限性を認識しながら、たおやかに悠々と挑戦の時を楽しむ。そういうアイテムなのだと思います。