Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

変革力と開放性

現状を是とせず、改善工夫、新たなやり方を探していこうとする。様々な情報に対してアンテナが高く、積極的に新しいやり方を取り入れることを試みる。

こうした行動は「変革」のベースとなるものであり、多くのビジネスパーソンにおいて必要とされている力といえます。

ですが、「変革力」ほど身につけにくい力はないといえます。知的好奇心や想像力、冒険心、芸術的な興味、情熱といったものは、人の性格を構成する五因子モデルの「開放性(=Openness)」に依存するのですが、この「開放性」というのは、20歳前後までにほぼ形成されてしまい、その後はほとんど伸びていかないからです。しかも50代を過ぎるとこの能力は頭打ちでもあったりします。変革において「老害」は数値で実証されているのです。


協調性や精神的安定性、外向性といった力は、年齢とともに伸びていくのに、この開放性というのは年齢とともに伸びないのです。


このデータを踏まえていけば、イノベーションを求める人材を求めるのであれば、研修などを行うことはほぼ無為に等しく、開放性の高い人材を採用・発見し、組織の中に留めておくための工夫をするしかありません。このことをよく知っているGoogleにおいては学歴や経験といったことを能力証明の拠り所とせず、開放性の有無を確かめるための採用を行います。そして、飽きっぽくて好奇心旺盛な「開放性」が高い人物を退屈させないための工夫を行うことに腐心します。


開放性が20代前後までしか育まれないことを理解していれば、打てる手は「教育法」にしかありません。世代で画一的な教育を行う日本のシステムは「開放性」養成においてはマイナス。モンテッソーリ教育などに変えていかなくてはいけないのですが、文部科学省の指導方針は、富国強兵、工業化社会における均一な人材育成システムから脱却できておらず、イノベーションという観点で日本が今後も引き離されているのは、ある面で当然のことといえるのでしょうね。