Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

ラブレターの効用

好きになった相手に自分の気持ちや人となり、考えを伝えていくためには、言葉しかない。面と向かって表情で伝えるということもあるのかもしれないけれども、面と向かって本当の気持ちを伝えるというのは案外難しいものだ。

 


そして、いざ伝えようとしたときに持ち合わせの言葉がいかに少なく、そして自己の人となりを理解してもらうに相応しい日常の瞬間や話題というものの乏しさに愕然とするもの。

 


果たして、物事の解像度を上げていくための言葉の引き出しを増やし、観察眼を磨き、出来事や想いを表現するための力を磨こうとするのは人としてごく自然なことなのだと思うのです。

 


万葉集、古今和歌集…短い文章に叙情を込めていく。文を綴る文字の美しさと詩歌の表現にその人物の価値を見るというのは、ビジュアル重視の今の時代とは大きく違うのでしょうね。

 


インターネットがない頃。パソコン通信黎明期にNifty-ServeとPC-Vanの2つに入っていたのです。そこには趣味嗜好の似た人が出会うフォーラムがあり、そこで知り合った山形県に住んでいる女の子と1年越しに文通を交わしていました。

 


「自分が思う何か」を言葉で伝えることができるというのは、それ以上でも以下でもなく、ただそれだけで心を満たせることを日々実感したものです。そして、何気ない日常を観る目も、それを表現する言葉も少しずつ養われた気がします。

 


今は、スタンプなどを駆使すればそれなりに気持ちを簡単に伝えることができるけど、人の心を動かす解像度の高い表現力はきっとそこでは養われないよね。言葉の拙い若手のスタッフのもどかしい表現を聞くたびに、ラブレターを毎日書きたくなるような女の子と恋愛をすればいいのに…と思うけど。今の人は長文のラブレターもメールも書かないのだものね。