Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

21年目のアクシデント

鎌倉浄妙寺の境内を入り、奥の山道をほどなく登った場所にある古い洋風の館。スコティッシュガーデンを擁する石窯ガーデンテラスを訪れたのは、日曜の夕方4時前のこと。


閉店にほどない時間ともあり客もまばら。僕たち家族4人は、プリン、アイス、スコーン、ブラウニーと飲み物を注文した。たどたどしく注文を繰り返すウェイター。シンプルな注文なのに、何度も聞き返してくることをみるとどうも新人らしい。紅茶を配膳する際の手がカタカタと震えている。


別のボウイがラストオーダーになることを知らせに来た。注文は済んでいるので、その旨を告げた。飲み物は全てサーブされ、プリンとアイスが子供達に。だが、僕が頼んだスコーンと妻が頼んだブラウニーは、一向に来る気配がない。気がつくと時刻は16時25分。もはやどうもおかしい。店員に告げると、奥であたふたとしている・・


『ラストオーダーが終わってしまったので、スコーンとブラウニーはお出しできません。なぜなら、オーブンの火を落としてしまったので・・』

え、え・・・
「注文は済んでいて、その証拠にスコーンのジャムとバターだけが出されているのですよ」僕らの注文を聞いた店員は定刻になり帰ってしまい、オーダーが接続されないまま宙に浮いたのが原因らしい。

しばらくすると、上品な叔母様が出てきた。ここのオーナーらしい。とにかく恐縮して謝ることしきり。代わりにプリンは如何ですか?と聞かれたのだけど、紅茶が飲み終わったタイミングでプリンという気分でもなく。もはや、別に飲み物だけでいいのですよ・・と。

『ここは、100年の邸宅でお店は21年やってきました。こんなことは初めて。何てことなのでしょう。本当に申し訳ない・・そんなにニコニコされてしまうとこちらとしてもなんと言っていいやら・・』


お詫びを何度もするものだから、僕らも何てことだという気持ちなど直ぐに消え去り、恐縮することしきり。しょうがないよね・・あの新米定員だったら


『これを持って行ってくださらない。本当にごめんなさいね・・』
彼女から渡された手提げ紙袋には、スコーンが8つ。そしてフランス製の高級ジャム。そして、レジに行くと『今日はもうレジは閉めてしまったの。これでお気を悪くしないでね・・』

マスターは帰る僕らを、ずっと見送ってくれていた。お代ももらわず、いっぱいの手土産を渡して返すなんて。ここまで気品と誇りのある対応は、普通の育ちの人において出来るものではないと感心しきり。

 

偶然かもしれないけど、石窯ガーデンテラスは僕の社会人デビューイヤーと同じなのですよね。それでいて、ミスが初めてだなんて・・僕なんてそんなこと数え切れないほどしてきたよ・・