万年筆は数本を使い分けているのですが、ボールペンは長らく1本のものを愛用していました。ロットリングのエグゼクティブマルチというシャープペンシルも付いた4in1のものです。購入したのは2003年ですからかれこれ20年使っていることになります。適度に高級感もあり、重くもなく、メカニカルも堅牢。
マルチペンは、Lamyやパイロット、パーカーなど様々なメーカーが出していますが、浮気もせずにこれ一本。レフィルをジェットストリームにすれば無敵です。
ドイツ製ロットリングは、製図用のシャープペンやボールペンが主力商品でビジネスユースのラインナップは数少ない。マルチペンはロットリングにおいては、珍しいラインナップとも言えます。
多分、そうしたユニークな位置づけだったこともあり、マルチペンシリーズは2008年に廃盤になってしまいます。もう一本買っておけばと思ったときには時すでに遅し。その後に根強い復刻の要望があり、マルチペンシリーズは一部復活をしたのですが、エグゼクティブマルチは復刻せず。
幸いながら大きな塗装のはげもなく、メカニカルの故障もなく使い続けてこれました。一方で新品のエグゼクティブマルチをヤフオクやメルカリで購入できる機会もずっと伺っていました。だいたいが状態が良くないか、いいものはえらく高い。
先日、メルカリでデッドストックの未使用品が売りに出されているのを目にし、値段もそこまで高くなかったので即買い…この機に新品を手に入れられるとは…
さて、商品が手許に届き同じペンを2本も持っていても仕方がないので、古い方は欲しい人に売るか…とメルカリに写真を撮って掲載すると、ものの1時間もしないうちに契約成立。20年使ったペンが購入時と同じ値段…
プレミア価格です。
このあらましを妻や娘に話したところ、非難ごうごう…
『入学願書や家の契約とか…大事な書類にはいつもあのペンで書いていたじゃない!何を考えているのよ!あなたが死んで形見にするとしたら、あのペン以外に考えられない。思い出の詰まったものをあっさり売り渡すなんて、失望したわ…』
『お父さんといえば、あのペンだよね。勉強教えてくれるときも、書類を書いてくれたときも。小さい頃からあのペンの印象しかない…(そりゃそうだ20年ということは彼女が3歳の時からだしね)』
『時計はいくつか使い分けているけど、ペンは使い分けてないよね…あれを売っちゃうの?そんなにお金困ってないでしょ…』
最後に一目見ておきたいなどと、僕より周囲があまりにもショックを受けているので、梱包を解き、メルカリの取引はキャンセルして、使い続けることにしました。
確かに靴などと違って場所をとるわけでもなし。お金がないわけでもないので、さっさか売ることもないっちゃあない。僕も愛着が無いわけではない…むしろあっという間に売れて気持ちの整理を無理につけようとしてたところもあったので、売るべきじゃなかったのでしょう。
しかし、ペン一本でこんなに周囲がざわめくとはビックリしました。