Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

近くて遠い早稲田

中学から子供が早稲田に世話になったこともあり、卒業をした今でも家には毎月「早稲田学報」が届く。分厚く読み応えのある中身の詰まった雑誌であり、さすが多彩で文芸に秀でた人が集うさすがの早稲田だけのことはある。(わざわざバラで買う人がいるかは定かではないが、定価1000円もする)


今月の特集は「早稲田と本屋」。早稲田界隈の書店、古書店と卒業生たちの書店にまつわる思い出の特集。


眺めつつ思うのは、書店好きだった人間において早稲田の古書店群には大学時代全く縁遠かったということ。早稲田とさほど離れていない学習院にいたにも関わらず・・である。

学習院というのはすべてがそこに完結された場所だった。


学ぶ校舎、野球部の活動を行うグランド、教科書を買う書店、食事、緑に癒やされる森、心惹かれる女生徒・・全てが同じ場所にあった。だから、毎日大学には行っていたものの、夜に高田馬場や池袋に飲みに繰り出すのがせいぜいだった。


今にして思えば、勿体ないことをしたものである。古書店と言えば、浪人時代に毎日のように彷徨っていた神保町だという意識が強く、間近な早稲田の魅力を堪能する機会を当時は持ちえなかった。近くて遠い場所、それが早稲田だった。


村上春樹片岡義男が好きだった人間においては、その原風景を訪ねるという動機はあったはずなのである。なのになぜなのか。それは、羊水のように極めて居心地の良かったキャンパスに身を置いていたからかもしれない。

 

f:id:ishibahomare:20210530201215j:plain