Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

黒柳さんの個性化プロセス

「私、子供の時と今とで、何か変わってるかな」と思って考えてみたらね、子供の時と同じようでね。なんかね「私、全然変わらないな」と思って。「昔のままで来ちゃったな、ここまで」って思ってね。


NHKプロフェッショナルの流儀”で印象に残った黒柳徹子さんの言葉です。

 

僕も子供の時と同じような感覚のまま、大人になれたらいいと昔から思っていることがあります。ああ、いいな同じだな・・いつでもこう言えるようにありたいと思いながら見ていました。


一方で黒柳さんの個性は成長過程で周りから何度も否定をされます。


小学校の時には、問題児だと扱われて転校を余儀なくされました。彼女をやさしく迎えてくれたのが、トモエ学園の小林先生。彼は彼女に「君は本当はいい子なんだよ」と言ってあげる。この言葉で彼女は孤独にも卑屈にもならずに成長をしていきます。この物語は「窓際のトットちゃん」に描かれています。


NHKで専属俳優でデビューをした時にも、その独特のキャラクターが製作スタッフに敬遠をされます。その時に声をかけてくれたのが劇作家の飯沢匡さん。彼は「君はそのままでいい」と彼女に言います。これも素晴らしい言葉です。この言葉だけでずっと生きていけると思います。


彼女の個性は、何度も否定されつつ、懐の深い大人によって守られていきます。それによって類まれな存在である今の黒柳さんがある。


アイデンティティの危機にさらされ、その転機を周囲の理解者によって乗り切ったことがさらなる個性化をもたらし、自己実現に繋がっていく。まさにアイデンティティ発達の螺旋モデルそのものです。


最近思うのです。


周囲に器用に合わせられる人は、実はアイデンティティの確立という点では損をしているということです。合わせ続けていくことで、自分というものが分からなくなる。個性化、自己実現という点では大きな落とし穴が最後に待っていることが多いと。


自分の色をはっきりと持った不器用な人は、周りから徹底的にたたかれます。


そのまま変節してしまったらお終いなのですが、その時に小林先生や飯沢さんのような素敵な方がいれば、自分の存在を認めさらなる拡散のステージに行ける。そして、与えられた才能、気質を活かした生き方に繋がり、後悔のない生き方に繋がっていく。黒柳さんも言っていました。結婚をしなかったことも含めて後悔していることは一切ないのだと。


トットちゃんみたいな人を受け容れられる人でありたい。そもそも、自分の色を持っている個性的な人と仕事するのは楽しいものね。