大阪都構想は今回も僅差で否決となってしまったわけですが、大義があるかのように見えていた都構想のメリットがイマイチはっきりしないという声が多くあり、むしろ短期的なデメリットを多く訴求されたことで高齢者を中心とした保守層が賛成に回らなかったことが今回も苦渋を飲んだ原因ではなかったのでしょうか。
もともと二重行政による税金の無駄遣いを無くし、効率的な行政サービスを実現することが都構想のビジョンだったはず。一方で、大阪市を無くしても行政職員は解雇はすることが出来ず、業務仕分けや片寄作業などで短期的にはコストアップは必ず発生するはずです。
ですが重複業務の排除を行い、行政職員の数を徐々に減らしていけば、5年後、10年後にはスリムアップした行政サービスが期待され、その時には税金ダウンやサービスアップが果実として期待できるというところでしょうか。
もし、そうなのであれば将来も含めた費用対効果のシミュレーションを提示してもらいたかったところです。ビジネスの世界では「ビジネスケース」と呼ばれるものです。ビジネスでは5年くらいの投資とリターンのキャッシュイン、アウトの状況を描いて投資対効果を算出することで意思決定をしますが、行政ならば10年スパンでビジネスケースを描いて良いでしょう。
それが描かれれば、高齢者は生きている間にメリットは享受できないかもしれないが、50代以下の次代を担う大阪都民、市民においてはかならずやそのメリットが享受できるはず、おおよそこの位・・・と宣言できたはずです。
ただし、ここで難しいのは投票率の高い高齢者(もっといえば年金生活者)が反対に回ることのリスクです。彼らを反対に回すというのはできれば避けたい。そうすると長期的なリターンで成立するビジネスケースで訴求することはマイナスも大きい。できればぼんやりとさせておいた方が得かも・・
でもこれと同じ現象は日本全体で起きている気がします。高齢者にはデメリットになる改革だけどやっておかないと将来の若者が割を食うのに、高齢者の票が欲しいから改革をしない、むしろやらないといったことが。僕は子供たちの時代がこのままでは税金も高く、社会保障も薄いとんでもない社会になるのではないか、それは年寄りの方ばかりを向いている政治と行政を変えないと駄目だと本気で思っています。