Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

笑いを科学する

今から15年前の2006年の時の事。NHKスペシャルで「"笑い"がビジネスを変える」という番組をやっていた。番組の中では、笑いの効用に関する医学的、社会学的な研究データも交えながら、笑いやユーモアが、企業のビジネスをどう変えようとしているのか、その最前線をリポートするというものだったわけです。


”笑い”大事だよね。僕は客先とのミーティングでもふざけたり笑わせることばっかり考えたりする。真面目にやれって怒られそうなもんですけど、若い時から誰からも叱られることもなく、相手も喜んでくれたから。。(そういう人としか付き合っていないということもある)だから、これはなかなかいい特集だぞと思ってみていたわけです。(自己正当化のいいネタだと・・ね)


そこでメインに取り上げられていたのが、IPA情報処理推進機構)のITスキルスタンダードのPMコミッティの中で結成された「笑力研究会」の活動だったのです。ITプロジェクトでは、厳しい局面が多くプロジェクトマネジャにおいては笑力を発揮することが重要であり、そのメカニズムを探るべく落語を聞いたり、伊東四朗に人を笑わせるコツを聴いたりしている様子が取り上げられていたのでした。


仏頂面をしたオジサンの面々に笑いを起こすコツは?なんて聞かれた伊東四朗もとても困っていたのだが、この人たちは目の付け所は悪くないのだけど根本的に間違いを犯している、と僕は思ってしかたがなかったのである。笑力は、人を笑わせることを商売にしている芸人にコツを伝授してもらう事じゃないでしょ。厳しい局面でもメンタルコントロールを行い、周りを明るく時にユーモアを言える機知に富んだ行動を取ることなのであり、EQ(感情知性)と言い換えてもいいんじゃないの?と。


お節介なたちというか、暇だというのか。そのIPAの成果発表会が明治記念館であったのでその発表を聞きにいったわけです。で、最前列に座りプレゼンが終わったリーダーの人に声をかけたわけです。


「あんな芸人に笑いのコツなんて聞くやり方していて、上手くいくと思いますか?どう見ても行き詰っていそうに思えるのですけど・・」


『そうなんです。NHKも注目してくれたんですけど、この先どう進めていいか私も行き詰ってしまっていて』リーダーを務めている生真面目なNさん。


「ITの領域の人材育成として笑力を標榜するなら、測定できて改善するための示唆を与える科学的な手法を用いた方がいいですよ。なんなら今度紹介しますが・・」


『それは、ありがたい。僕らのPMコミッティに来てください。そこであなたの行っている手法を紹介してください・・』

 

ということで、僕はITエンジニアのPMの叔父様たちに笑力とはすなわちEQ(感情知性)そのものと言って良く、EQは測定できるし伸ばすこともできるんですよ・・笑い話をいくら仕込んでも、相手の感情を理解したり、自分の心の動きを臨機応変に変えることが出来ない人には何の役にも立たないんですよ・・なんて事を話したわけです。

 

で、皆さんえらく納得してくれて。その後、僕はゲストメンバーとして笑力研究会の一員となり、もっと広い所ではPM人材のコンピテンシー開発の在り方を組織・人事の専門家として構想し、報告書にまとめるという役割を預かることになったのです。その報告書は今でもキチンと見ることができます。


先日、1年間の構想で具体化した幹部社員研修においても、「人間力」を上げたいというキーワードが出てきたので、それってEQでしょう・・ということでEQのエッセンスが入っていたりします。日本でトップクラスのITソリューションカンパニーということで、なんかかんだで繋がっているんだなって思うわけです。


そもそも僕の今いるグループも「笑う」をビジョンに掲げていたりしますけどね。これもね、幸福に着目してますけど、人は幸福だから笑うわけじゃないんだよね・・笑うと幸福な気持ちにはなるけど・・