儲かるか儲からないか、売上が大きいか小さいか。事業に取り組む意思決定における大事な要素だ。一方で未来の可能性に繋がるか、否かというのが真に重要な要素。
後者はありきたりにいえば『ビジョン』ということだが、そこには未来において世の中や顧客が抱える『不』を解消させているという大義やその具現化、価値提供に向けて不屈の取り組みをする強い意志が求められる。紙っぺらに書いて額縁に掲げるビジョンなど何の値打ちもない。
真のビジョンを持つ人か否かは、不確実性の混じった案件があったときの意思決定にハッキリと現れる。利益率やら計画の確実性やらを根掘り葉掘り聞いてハッキリしないとやらないという人間は、『ビジョン』などからきし持っていない人なのだ。
『ビジョン』があれば、何かそこに可能性を感じて賭けてくれる。「やってみなはれ」だ。
ある会社のDNAを幹部に共有させる研修プログラムを作っている。なぜ、情報処理産業界で飛躍的な成長を遂げたのか、異種なる事業統合を80年代に行えたのか…
キーワードは、時代の先を見据えたビジョンに基づく意思決定。ハードベンダー系や通信系とはDNAが根本的に違う。
母体は今の儲けではなく、未来の相場を見越した商売をしなければ成り立たない。常に先手先手を読むことを叩き込まれている。そして未来を予測し意思決定を下す。他の会社であれば到底否決されたであろう意思決定が喧々諤々ありつつも行われていく。それが世界でも極めてユニークな組織を形成したDNAだったりするわけだ。
ワイワイと議論を重ねながら、僕がいつも歯がゆく話のかみ合わない人は、未来が見えない人なんだろうな…と思ったのだった。